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「綿屑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

綿屑の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
淫売婦」より 著者:葉山嘉樹
きたい。けれども私を使って呉れる人はない。私は工場で余り乾いた空気と、高い温度と綿屑とを吸い込んだから肺病になったんだ。肺病になって働けなくなったから追い出され....
支倉事件」より 著者:甲賀三郎
住した時に、再び放火を企てた。 彼は或る夕、書籍の手入をするように見せかけて、綿屑に揮発油を染み込ませては、本箱の後に抛り込んだ。そして夜半にそれに火を点けた....
千鳥」より 著者:鈴木三重吉
中をぶらぶらと出て行く。 五六歩すると藤さんがまた呼びかける。 「あなたお背に綿屑かしら喰っついていますよ」 「どこに?」 「もっと下」 「このへんですか」 ....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
爺どのを、推遣るようにさっせえた。お手の指が白々と、こう輻の上で、糸車に、はい、綿屑がかかったげに、月の光で動いたらばの、ぐるぐるぐると輪が廻って、爺どのの背へ....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
て、そんなお人がらな半※を。……唯今、お手拭。」 茶の室へ入るうしろから、 「綿屑で結構よ。」 手拭をさえ惜しんだのは、余程身に沁みた不気味さに違いない。 ....
幻の彼方」より 著者:豊島与志雄
だった。生れて三日目に予言をして死ぬという件《くだん》だった。それが、ぼろぼろの綿屑の上に、飲まず食わずで蹲まっていた。――その幻が順造の眼の前に浮んできた。何....
おみな」より 著者:坂口安吾
った。暫く佇んでいたが、一言の答えはなくとも、やがて元気よく駈け去った。私は尚も綿屑のように答えを忘れ睡ったふりをしていたのだ。子供の感傷に絡み合う自らの虚しい....
ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
と、わたくし共は 天使の質を持っているわけになりまする。 この方に引っ附いている綿屑を 取って上げて下さい。 もうこれで聖なる生活にお入になって、 美しく、大き....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
れはてた誓文神の祠がある。この辺一帯、梟や渡り鳥の巣をかけるのが多く、冬になると綿屑のようなものがどの梢にも絡まって見えるそうな。 今は秋。林の中は芒明りとい....
歌う白骨」より 著者:妹尾アキ夫
鏡に目をあてて、スライドを動かした。その埃のなかには、どこの埃にも混っている、木綿屑や毛屑のような繊維がみえたが、二三の特徴のある毛屑も混っていないことはなかっ....
濞かみ浪人」より 著者:吉川英治
入をする。もう、結納もすみ、あの家では、初春の支度で、花嫁の準備で、友禅小布れや綿屑が、庭先に掃き出されてあるのでもそれが分る――と、云うのだった。 『そんな筈....