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綿帽子
「綿帽子〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
綿帽子の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「あらくれ」より 著者:徳田秋声
た。
「まあ今日《こんにち》のベールだね」などと、青柳が心持わなないているお島の
綿帽子を眺めながら気軽そうに言った。そんな物を着ることをお島が拒んだので、着せる....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
に、初めてじゃアなし、法蔵寺で逢って知って居るから、先刻《さっき》お前さんが白い
綿帽子を冠《かぶ》って居たが、田舎は堅いと思って、顔を見度《みた》いと思っても、....
「高山の雪」より 著者:小島烏水
展覧会などで見る「高嶺の雪」などいう日本画には、空気を絶したような峻急な高嶺に、
綿帽子のように、むやみに雪を盛り上げたのがあるけれども、あれは誤りである。
も....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
っておりました。雪を払《か》いていた者は雪払《ゆきかき》を休《や》める、黄色い真
綿帽子を冠った旅人の群は立止る、岩村田|通《がよい》の馬車の馬丁《べっとう》は蓙....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
。 凱旋道路のところまで駆け足で行ってみると、意外にも一台の黒い自動車が、雪の
綿帽子を被ったまま、ジッと停っていた。速水がオーイと声をかけると、自動車の扉がサ....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
かなけりゃあならねえ。……素敵だ! 相変らずだ! 綺麗なことだ! 春だ! 畜生!
綿帽子だ! 雪の
綿帽子を着てますね。いつもお前さんは花嫁だ! だから裾野は花盛り....
「千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
左右に吹き靡いていた。 その日、私は学校の往と還とに停車場前の通を横ぎって、真
綿帽子やフランネルの布で頭を包んだ男だの、手拭を冠って両手を袖に隠した女だのの行....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
ないが、しかし青山の家でもやはりその「見るな」で、娘お粂に白無垢をまとわせ、白の
綿帽子をかぶらせることにして、その一生に一度の晴れの儀式に臨ませる日を待った。す....
「家」より 著者:島崎藤村
残惜しそうに停車場まで随いて行った。寒く暗い停車場の構内には、懐手をした農夫、真
綿帽子を冠った旅商人、それから灰色な髪の子守の群などが集っていた。 西と三吉と....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
梗女郎花の若芽など、生え出でて毛氈を敷けるがごとく、美しき草花その間に咲き乱れ、
綿帽子着た銭巻、ひょろりとした蕨、ここもそこもたちて、ひとたびここにおり立たば春....
「雪の宿り」より 著者:神西清
いてあとからあとから舞い下りるが、中ぞらには西風が吹いているらしい。塔という塔の
綿帽子が、言い合わせたように西へかしいでいるのでそれが分る。西向きの飛簷垂木は、....
「山の春」より 著者:高村光太郎
るうちに、今度は一度にどっとゼンマイやワラビが出る。ゼンマイの方が少し早く、白い
綿帽子をかぶって山の南側にぞくぞくと生える。これは干ゼンマイにするといいのだが干....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
魚の舟とが一緒になって、地平線の外へ消え失せる時、月がそろそろと昇り始めるのだ。
綿帽子を取りはずされた嫁様のように恥かしさとかがやかしさとで、どんなに月は下界の....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
、婚礼というので、いでやかねての男振、玉も洗ってますます麗かに、雫の垂る処で一番
綿帽子と向合おうという註文で、三日前からの申込を心得ておきながら、その間際に人の....
「冬の木立」より 著者:小川未明
冬《ふゆ》の木立《こだち》 しょんぼりと 寒《さむ》かろう 蓑《みの》着《き》よ 合羽《かっぱ》着《き》よ
綿帽子《わたぼうし》かぶりょ からすが 頭《あたま》に止《と》まった かんざしの....