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緋の衣
「緋の衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
緋の衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「薤露行」より 著者:夏目漱石
《たす》けて「ランスロット!」と幽《かすか》に叫ぶ。王は迷う。肩に纏《まつ》わる
緋の衣の裏を半ば返して、右手《めて》の掌《たなごころ》を十三人の騎士に向けたるま....
「単独行」より 著者:加藤文太郎
れにもはかなく消えてしまう。だが十月の半ばにもなって、日本アルプスの谷という谷が
緋の衣に包まれると、山の頂きもまた日に日に白さを増してくる。そして十一月には木枯....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
待ちろ。(と抜足で寄って、小屋の戸の隙間を覗く。) 蟹五郎。朱顔、蓬なる赤毛頭、
緋の衣したる山伏の扮装。山牛蒡の葉にて捲いたる煙草を、シャと横銜えに、ぱっぱっと....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
。そのわきへ、喜太郎様が、帽子かぶりで、蒼くなって附添った、背後へ持明院の坊様が
緋の衣じゃ。あとから下男下女どもがぞろぞろと従きました。取揚婆さんは前へ早や駆抜....
「悲しめる心」より 著者:宮本百合子
ども 青い着物に銀の鎌 いかめしゅう立つとしよりは くぼんだまなこで
緋の衣を じいっと見たまま立って居る いつまでも――いつまでも ....
「決闘」より 著者:神西清
「飯が出来たであります!」と披露する。二人が食堂へはいると、台所の温気でうだって
緋の衣みたいな顔色をしたサモイレンコが、ぷりぷりしながら立っている。ぎょろりと二....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
襴表装のピカピカ光った画を睥睨威圧するは、丁度|墨染の麻の衣の禅匠が役者のような
緋の衣の坊さんを大喝して三十棒を啗わすようなものである。 この椿岳は如何なる人....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
んだろうよ。けれど老成してござるから聖といってもおかしくない。盲最上の位なので、
緋の衣に、検校帽子をかぶり、後ろに燕尾を垂れて行くさまは、唐画の人を見るようじゃ....
「山の人生」より 著者:柳田国男
高いことであるが、これとても狩野古方眼が始めて夢想したという説もあって、中古には
緋の衣に羽団扇などを持った鼻高様は想像することができなかったのである。そのうえに....