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緋の袴
「緋の袴〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
緋の袴の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「日光小品」より 著者:芥川竜之介
もよいの夕に春日の森で若い二人の巫女にあったことがある。二人とも十二、三でやはり
緋の袴に白い衣をきて白粉《おしろい》をつけていた。小暗い杉の下かげには落葉をたく....
「吉原新話」より 著者:泉鏡花
気がした、勇気は一倍。 怪しからん。鳥の羽に怯かされた、と一の谷に遁込んだが、
緋の袴まじりに鵯越えを逆寄せに盛返す……となると、お才さんはまだ帰らなかった。お....
「春昼」より 著者:泉鏡花
と申す風情。 されば、気高いと申しても、天人神女の俤ではのうて、姫路のお天守に
緋の袴で燈台の下に何やら書を繙く、それ露が滴るように婀娜なと言うて、水道の水で洗....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
である。 伶人の奏楽一順して、ヒュウと簫の音の虚空に響く時、柳の葉にちらちらと
緋の袴がかかった。 群集は波を揉んで動揺を打った。 あれに真白な足が、と疑う....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
れは一散に遁げた、と言う。 何を見て驚いたか、渠等は頭を掉って語らない。一人は
緋の袴を穿いた官女の、目の黒い、耳の尖がった凄じき女房の、薄雲の月に袖を重ねて、....
「革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
んで持っていて、汽車が隧道へ入った、真暗な煙の裡で、颯と化猫が女を噛む血だらけな
緋の袴の、真赤な色を投出しそうに考えられた。 で、どこまで一所になるか、……稀....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
。が、額の下の高麗べりの畳の隅に、人形のようになって坐睡りをしていた、十四になる
緋の袴の巫女を、いきなり、引立てて、袴を脱がせ、衣を剥いだ。……この巫女は、当年....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
の晩は、唯今のお珊の方が、千日前から道頓堀、新地をかけて宝市の練に出て、下げ髪、
緋の袴という扮装で、八年ぶりで練りますから。」 一言、下げ髪、
緋の袴、と云った....
「縁結び」より 著者:泉鏡花
爛々たる、一体の般若、被の外へ躍出でて、虚空へさっと撞木を楫、渦いた風に乗って、
緋の袴の狂いが火焔のように飜ったのを、よくも見ないで、 「ああ。」と云うと、ひし....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
大事|出来のように言い囃して、からかい半分、お米さんは神様のお気に入った、いまに
緋の袴をお穿きだよ、なんてね。 まさかに気があろうなどとは、怪我にも思うのじゃ....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
す。服装は私の時代よりはやや古く、太い紐でかがった、広袖の白衣を纏い、そして下に
緋の袴を穿いて居るところは、何う見ても御所に宮仕えして居る方のように窺われました....
「春昼後刻」より 著者:泉鏡花
く近づいた跫音は、件の紫の傘を小楯に、土手へかけて悠然と朧に投げた、艶にして凄い
緋の袴に、小波寄する微な響きさえ与えなかったにもかかわらず、こなたは一ツ胴震いを....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
、あげましょう。」と云って、待て……その雛ではない。定紋つきの塗長持の上に据えた
緋の袴の雛のわきなる柱に、矢をさした靱と、細長い瓢箪と、霊芝のようなものと一所に....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
お囃子の人形が笛を落した、まあ、鼓を打棄った、まあ、まあ、まあ、太鼓の撥を、あれ
緋の袴が動くんだよ。あれ、皆! とお夏さんがすっくり立った。 顔を見合せて皆呼....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
と、うっとりなすった時、緑、白妙、紺青の、珠を飾った、女雛が被る冠を守護として、
緋の袴で練衣の官女が五人、黒雲の中を往来して、手招をするのが、遠い処に見えました....