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「緋鯉〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

緋鯉の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
り通る。 石段の下あたりで、緑に包まれた夫人の姿は、色も一際|鮮麗で、青葉越に緋鯉の躍る池の水に、影も映りそうに彳んだが、手巾を振って、促がして、茶店から引張....
眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
へ導かれたのであった。 肱掛窓の外が、すぐ庭で、池がある。 白雪の飛ぶ中に、緋鯉の背、真鯉の鰭の紫は美しい。梅も松もあしらったが、大方は樫槻の大木である。朴....
ゴールデン・バット事件」より 著者:海野十三
あっちからも、こっちからも金の胸にぶら下るのだ。まるで一つの麩を目懸けて、沢山の緋鯉真鯉がお互に押しのけながら飛びついてくるかのように。 そのときに金はどんな....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
寒い日にその池の掻掘りをはじめると、水の深さは一丈を越えていて、底の方から大小の緋鯉や真鯉が跳ね出して来たが、そのほかにはこれというような掘出し物もなかった。お....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
るくよりも、夜店に金魚|桶をならべて見るべきものであろう。幾つもの桶をならべて、緋鯉、金魚、目高のたぐいがそれぞれの桶のなかに群がり遊んでいるのを、夜の灯にみる....
夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
す。 鯉七 いや、お腰元衆、いろいろ知ったは結構だが、近ごろはやる==池の鯉よ、緋鯉よ、早く出て麩を食え==なぞと、馬鹿にしたようなのはお唄いなさるな、失礼千万....
売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
、靴を返しながら、爪尖を見れば、ぐしょ濡の土間に、ちらちらとまた紅の褄が流れる。緋鯉が躍ったようである。 思わず視線の向うのと、肩を合せて、その時、腰掛を立上....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
炎となって、むらむらと立つ、それが舞台。 取巻いた小児の上を、鮒、鯰、黒い頭、緋鯉と見たのは赤い切の結綿仮髪で、幕の藤の花の末を煽って、泳ぐように視められた。....
政談十二社」より 著者:泉鏡花
屋は、松と薄で取廻し、大根畠を小高く見せた周囲五町ばかりの大池の汀になっていて、緋鯉の影、真鯉の姿も小波の立つ中に美しく、こぼれ松葉の一筋二筋|辷るように水面を....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
字ぞ中空に描かれたる。この住居は狭かりけれど、奥と店との間に一の池ありて、金魚、緋鯉など夥多養いぬ。誰が飼いはじめしともなく古くより持ち伝えたるなり。近隣の人は....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
と抜いた。湯殿から蒸しかかる暖い霧も、そこで、さっと肩に消えて、池の欄干を伝う、緋鯉の鰭のこぼれかかる真白な足袋はだしは、素足よりなお冷い。で……霞へ渡る反橋を....
二人町奴」より 著者:国枝史郎
衛門を、釣鐘弥左衛門と称したが、それ程の釣鐘弥左衛門も、兄分と立てなければのは、緋鯉の藤兵衛という町奴であった。 4 ある日と云ってもずっと後だ――寛文年間の....
おせん」より 著者:邦枝完二
あった。 池と名付ける程ではないが、一|坪余りの自然の水溜りに、十|匹ばかりの緋鯉が数えられるその鯉の背を覆って、なかば花の散りかけた萩のうねりが、一叢ぐっと....
画室談義」より 著者:上村松園
籠のなかの小鳥たちもそれに和すように鳴き出す。 木々の間をぬうて歩めば掘り池に緋鯉の静寂がのぞかれる。 朝の一瞬、貧しいながらここは私にとってまったくの浄土....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
に、錦の帯の八橋を、転げた上で泳ぐがごとき、大それた溺れよう。肝魂も泥亀が、真鯉緋鯉と雑魚寝とを知って、京女の肌を視て帰って、ぼんやりとして、まだその夢の覚めな....