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総毛立つ
「総毛立つ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
総毛立つの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「皮膚と心」より 著者:太宰治
がして、わくわくしてまいりました。ひょっとしたら、この吹出物も――と考え、一時に
総毛立つ思いで、あの人の優しさ、自信の無さも、そんなところから起って来ているので....
「真景累ヶ淵」より 著者:三遊亭円朝
な事をいうの、女に生れたって、気違じみ切って居るよ」
新「お前に口を利かれても
総毛立つよ」
尼「喧嘩をしてはいけません、私もお賤の為には親だから死水《しにみ....
「怪談牡丹灯籠」より 著者:三遊亭円朝
十六 白翁堂勇齋は萩原新三郎の寝所を捲くり、実にぞっと足の方から
総毛立つほど怖く思ったのも道理、萩原新三郎は虚空を掴み、歯を喰いしばり、面色土気....
「惨事のあと」より 著者:素木しづ
かの不思議な物音、物音というよりもかすかな遠い幽鬱な響を耳にした。三人の心に冷い
総毛立つような気味悪さが流れ込んで来た。楯井さんのおかみさんは、楯井さんの側へ近....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
蔓が枯れたちゅう道理がある。風もねえに芋の葉が宙を歩行くわけはねえ。ああ、厭だ、
総毛立つ、内へ帰って夜具を被って、ずッしり汗でも取らねえでは、煩いそうに頭も重い....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
恐ろしかったか、自分にも分らぬくらい。 毛虫は怪しいものではないが、一目見ても
総毛立つ。おなじ事で、たとえ不気味だからといって、ちっとも怪しいものではないと、....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
て、思い切って、掻巻の袖を上げると、キラリと光ったものがある。 鱗か、金の、と
総毛立つ――と櫛でした。いつ取落したか、青貝摺ので、しかも直ぐ襟許に落ちていまし....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
くなって、ウハハハハ、あははははは、と、突如として家をゆるがす夜中の哄笑、ぞっと
総毛立つものすごさをともなって。
七、八人をうしろに従えて、いきなり、ガラリ!....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
子にひき廻されながらも。どんなに安心したか、御想像下さい。何しろ、何を言われても
総毛立つというのだから、私としては自分の食べるチーズでも分けて送ってやるしか手が....
「真夜中から黎明まで」より 著者:豊島与志雄
がら肩を聳やかす。無生のものが生の息吹に触れて恐れ戦くに似ている。斯く天地万象が
総毛立つと共に、蠱惑的な鬼気は物の深みに姿を潜めてしまう。それはただ物凄い時刻、....
「高尾ざんげ」より 著者:豊島与志雄
たろう。」 そして永井さんは声高く笑いました。 その笑い声に、菊千代はぞっと
総毛立つ思いをしました。――あの舞踊の会に奥さんが来ていた筈はありませんでした。....
「地虫」より 著者:小栗虫太郎
うことは、左枝君、君が一番よく知っているはずだよ。 実に、悪蟲三伝の、読むだに
総毛立つような告白文だった。 嵐は去った。早苗は、和やかな陽差を満身に浴びなが....
「つゆのあとさき」より 著者:永井荷風
報復の手段をそれとなく語るのやら、その区別がつかない。唯何となく薄気味がわるく、
総毛立つような気がするばかり。やっと気を取直して、 「いいでしょう。甘ったるい場....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
が」
と、悲しげに、彼女が、嗚咽したので――武蔵はハッとした。焔の身に、ぞッと
総毛立つような理智の冷たい声を浴びて、
「なななぜだっ? 何故だっ?」
呻きに....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
首をふッて、 「この高氏なら、そんな下手はやらぬ。もし、やるからには」 何か、
総毛立つばかりな大覚悟を感じながらも「……もし、やるなら?」と、心はどこかで踏み....