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「緑蔭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

緑蔭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
武蔵野」より 著者:国木田独歩
に行なわれて、春夏秋冬を通じ霞《かすみ》に雨に月に風に霧に時雨《しぐれ》に雪に、緑蔭に紅葉に、さまざまの光景を呈《てい》するその妙はちょっと西国地方また東北の者....
芽生」より 著者:島崎藤村
患者だのが、彼方此方《あちこち》と庭の内を散歩している。学士達は消毒衣のままで、緑蔭にテニスするさまも見える。ここへお房が入院したばかりの時は、よく私も勧められ....
千曲川のスケッチ」より 著者:島崎藤村
笑った。 その日は、校長はじめ、他の同僚も懐古園の方へ弓をひきに出掛けた。あの緑蔭には、同志の者が集って十五間ばかりの矢場を造ってある。私も学士に誘われて、学....
みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
は昨日の様でも、最早|春蝉が鳴き出して青葉の蔭がそゞろ恋しい日もある。詩人が歌う緑蔭幽草白花を点ずるの時節となって、畑の境には雪の様に卯の花が咲きこぼれる。林端....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
又、笹の雪と思い思いの家に朝茶の子すまし、早ければ道灌山を飛鳥山に出て、到る処に緑蔭の清風を貪り、さていい加減汗になって滝浴みという順序だが、横着には汽車を利し....
大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
それにしても古ぼけたるカクテルではある。大阪の尖端にはこんな埃はいくらでもある。緑蔭随筆 一本の草、一枚の葉の弱々しいあの軟かなものが、夏になると、この地上を....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
の鋪道も、同じ軽さで叩いたし、マドリッド闘牛場の砂も附けば、これからはまた印度の緑蔭も踏むことだろう。私達の旅のすがただ。詩人の墓も撫でたしナポレオンの帽子にも....
恢復期」より 著者:堀辰雄
二階から降りてこっそりと台所の裏へ出て行った。そこには落葉松が繁茂していて涼しい緑蔭をつくっていた。彼はいつもそこへ籐の寝椅子を持ち出してごろりと横になった。其....
地上」より 著者:島田清次郎
らまた、話し相手になっていただけますかしら」 「わたしこそ」 隣りの社の杉林の緑蔭が日に透されてうつらうつら三人の女性の上に揺らいでいた。珍しい静けさ、珍しい....
昔のことなど」より 著者:上村松園
に連翹などあしらわれた処に鼬の走っている「廃園春色」、樹蔭に大きな牛が寝て居る「緑蔭放牧」、その牛と牧童の部分を私は写さして貰いました。「髑髏舞」もいいものでし....
夕立」より 著者:永井荷風
ューヨーク》にては稀に夕立ふることあり。盛夏の一夕《いっせき》われハドソン河上の緑蔭を歩みし時驟雨を渡頭《ととう》の船に避けしことあり。 漢土《かんど》には白....
日を愛しむ」より 著者:外村繁
の春光が満ち溢れている感じである。小庭の木木の葉にも、柔かい陽光が降り注ぎ、その緑蔭の中には葉洩れの光線を受けた、一枚の硬質の葉の反射光が、むしろ白色に近い光を....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
* 第三のパンクした時、私たちは鬱蒼とした樺太柳の、白楊の、また絹柳の緑蔭にはいりかけた私たちを見た。 木の橋があった。潺湲たる清流があった。 水....
早稲田神楽坂」より 著者:加能作次郎
稲田や目白あたりの学生の好個の遊歩地としていつも賑っている。時節柄関口の滝の下の緑蔭下に、小舟に棹し遊ぶ者もかなり多いが、あれが江戸川橋からずっと下流の方まで、....
それから」より 著者:夏目漱石
へ渡り返して、長い堤《どて》を縫う様に歩いた。がその桜はとくに散てしまって、今は緑蔭《りょくいん》の時節になった。代助は時々橋の真中に立って、欄干に頬杖《ほおづ....