緑青色[語句情報] » 緑青色

「緑青色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

緑青色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
Mensura Zoili」より 著者:芥川竜之介
上ったり下ったりするのを、見るがいい。空が曇っているから、海は煮《にえ》切らない緑青色《ろくしょういろ》を、どこまでも拡げているが、それと灰色の雲との一つになる....
失楽園殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
れている、二人の冥界の獄卒が突っ立っていた。 右はアディソン病患者の青銅鬼で、緑青色の単衣を纏い、これはやや悲痛な相貌であるが、左手の赤衣を着た醜怪な結節癩は....
朝の風」より 著者:宮本百合子
ての面白さには、草原の右手よりの彼方に聳えている一つの小さい古風な、赤煉瓦の塔の緑青色の円屋根が重要なアクセントをなしているのがわかって来るだろう。その塔をかこ....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
ない。松茸の香気を嗅いですぐに想い浮べられるものは、十月の高い空のもとに起伏する緑青色の松並木の山また丘である。馬には馬の毛皮の汗ばんだ臭みがあり、女には女の肌....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
お伸して、もう一息、兀の頂辺へ扇子を翳して、 「いや、見失ってはならぬぞ、あの、緑青色した鳶が目当じゃ。」 で、白足袋に穿込んだ日和下駄、コトコトと歩行き出す....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
、三人|斉しく山伏なり。白衣に白布の顱巻したが、面こそは異形なれ。丹塗の天狗に、緑青色の般若と、面白く鼻の黄なる狐である。魔とも、妖怪変化とも、もしこれが通魔な....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
するりと辷って、波の上へ乗ったから、ひやりとして、胴の間へ手を支いた。 その時緑青色のその切立ての巌の、渚で見たとは趣がまた違って、亀の背にでも乗りそうな、中....
白蛾」より 著者:豊島与志雄
印みやげの香水などちょっと体にふりかけて、三時前に、五重塔のところへ行きました。緑青色の屋根を重ねた重厚な感じのその高塔に眼を据えて、肚を据えてかかる気持ちを固....
娘煙術師」より 著者:国枝史郎
とおちぶれさせては、親として申し訳がないからなあ」 二坪ばかりの茶畑があって、緑青色の厚肉の葉が、押し合うように盛り上がっていたが、その傍らまで歩いて来た時に....
墓地展望亭」より 著者:久生十蘭
丘。左手に黝く見えるのはヴァンセイヌの森であろう。 廃兵院《アンブアリード》の緑青色の円屋根の上に洩れ陽がさしかけ、エッフェル塔のてっぺんで三色旗がヒラヒラと....
肌色の月」より 著者:久生十蘭
どれがどの技とも見わけられないほど、青葉若葉が重なった下に、眼のさめるような緑青色の岩蕗や羊歯が繁っている。灰緑から海緑《ヴェル・マレエ》までのあらゆる色階....
平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
と、呟いていたが、それからまた一丁ばかり堤の上を歩いて行くと、赤松林の向うに緑青色《ろくしょういろ》の唐瓦《とうが》を置いた棟の反《そ》った支那風の建物が見....
歌麿懺悔」より 著者:邦枝完二
きく横に歪んで、襟足に乱れた毛の下に、ねっとりにじんだ脂汗が、剥げかかった白粉を緑青色に光らせた、その頸筋から肩にかけての鮪の背のように盛り上った肉を、腹のほう....
越中劍岳先登記」より 著者:柴崎芳太郎
気の乾燥せる山頂にありしがためかさほど深錆とも見えないが、錫杖の頭は非常に奇麗な緑青色になっております。この二品は一尺五寸ばかり隔ててありましたが、何時の時代、....
文妖伝」より 著者:田中貢太郎
いたので胸のあたりが苦しかった。彼はちょっと立ち停って呼吸を調えたが、その時背が緑青色をした腹の白い小さな蛇が神経の中にちらちらするとともに、物をうんとつめてい....