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線描
「線描〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
線描の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「画室の言葉」より 著者:藤島武二
ことをいっているのである。 絵を見る場合、画面には先ず色彩があり、構図があり、
線描があって、それが眼に入るのは当然であるが、それ以上に未だ奥があることを知って....
「S岬西洋婦人絞殺事件」より 著者:夢野久作
図になっておりまして、その古代船艦や、波濤や、空を飛ぶ神々の姿まで、非常に細かい
線描になっているようですが、それがドコまでもムラのない黒の一色でボカシも何もない....
「厨房日記」より 著者:横光利一
樫で出来ている床几のような細長い黒黒としたテーブルが一つ置いてある。正面の壁には
線描の裸像の額がかかっているきりであるが、アフリカ土人の埋木の黒い彫刻が実質の素....
「油絵新技法」より 著者:小出楢重
れたもの、あるいは木炭、ペン、毛筆等で描かれたもの、あるいは一切の色彩を交えない
線描の絵の一切を素描という事も出来る。あるいは日本絵の下絵や鳥羽僧正の鳥獣戯画や....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
思う。目下の、日本の新聞紙の紙質では、どうも網目版がうまく鮮明に現れにくい。絵を
線描のみでなく淡墨を以て調子づけたりする事も結構だが、どうも鮮明を欠く嫌いがある....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
が、流行型の大きな帽子箱を抱えて、流行型の自動車へ乗るべく今や片足かけている細い
線描の漫画――これが「巴里」だ。なぜなら、彼女の長い睫毛と濃い口紅は必ず招待的に....
「死者の書」より 著者:折口信夫
の上帛の上に、郎女の目はじっとすわって居た。やがて筆は、愉しげにとり上げられた。
線描きなしに、うちつけに絵具を塗り進めた。美しい彩画は、七色八色の虹のように、郎....
「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
ような奔放なところは少しもなくて全部が大人しい謹厳な描き方で一貫している、そして
線描の落着いたしかも敏感な鋭さと没骨描法の豊潤な情熱的な温かみとが巧みに織り成さ....
「北斎と幽霊」より 著者:国枝史郎
葛飾北斎は江戸の町を柱暦を売り歩いていた。 北斎といえば一世の画家、その雄勁の
線描写とその奇抜な取材とは、古今東西に比を見ずといわれ、ピカソ辺りの表現派絵画と....
「日記」より 著者:宮本百合子
見えた。深い拡大された影が細そりした葉、純白の花弁のすき間を満し、ギリシア舞妓の
線描模様のある、濃紅の花壺の中で、見とれるほど清楚な美を湛えて居る。 打たれて....
「手仕事の日本」より 著者:柳宗悦
い仕事ぶりを見せたのは土瓶の類であります。山水や四君子の絵を好んで描きます。黒の
線描に緑や飴色を差します。一日に何百と描くその技の早さは見ものでさえあります。中....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
のかい」姪の甘えるような言葉を、そのままの意味で聞いた半斎は、クックッ笑いながら
線描きの大津絵に、紅や黄土を塗りはじめる。 「ね、おじさん、あの方たちは奥にいる....
「随筆 宮本武蔵」より 著者:吉川英治
問題として、いくら剣によるひとつの自然直観がすぐれていても、筆のあつかいやまた、
線描だの溌墨の技術には、相当な画修行もしたにちがいないことは、いうまでもない。た....
「楡の花」より 著者:中谷宇吉郎
たエルムの梢が、まだ枯枝のまま暗い空に交錯してのび出ている。仰いで見ると、墨絵の
線描きのような恰好である。 その時よく注意して見ると、どの小枝にもみな点々と心....
「味覚の美と芸術の美」より 著者:北大路魯山人
うものが、形や柄の表面美に囚われていて、ものの真髄を掴む点においては、到底日本の
線描名画に敵し得ないものであると思うが、仮りに百歩を譲って、洋画には洋画でなけれ....