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線香花火
「線香花火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
線香花火の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「青木の出京」より 著者:菊池寛
ありがとう」と、いいながらそれを押し戴くようにした。 八十円を懐にした青木は、
線香花火のように燦《きらび》やかな贅沢をやった。彼は、クラスの誰彼を、その頃有名....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
その一部を担任していなければならない。 花火は普通の打ち揚げのほかに、鼠花火、
線香花火のあることは説明するまでもあるまい。鼠花火はいたずら者が人を嚇してよろこ....
「正義と微笑」より 著者:太宰治
笑話に終ってしまったようだ。 「花火だね。」兄さんは詩人らしい結論を与えた。 「
線香花火だ。」僕は、現実家らしくそれを訂正した。 なんだか淋しい。家が、がらん....
「冬の花火」より 著者:太宰治
に眠ったふりなんかしてさ、いやな子だよ。 (数枝)(睦子の手に握られてある一束の
線香花火に気附いて)おや、これは何? どうしたの? (睦子) これは、玩具です。....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
りまわし以外に、何等常識以上のものがないようだ。一つ二つその場限りの鋭い観察も、
線香花火のようにひらめくだけで、殆んど理論的な蓄積を齎してはいない。 これは文....
「備忘録」より 著者:寺田寅彦
くあらゆる科学の探究に従事するものの感ずる困難と同種類のものでなければならない。
線香花火 夏の夜に小庭の縁台で子供らのもてあそぶ
線香花火にはおとなの自分にも強....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
をちょっと御覧なすっても分りますが、絶所、悪路の記号という、あのパチパチッとした
線香花火が、つい頭の上の山々を飛び廻っているのですから。……手前、幼少の頃など、....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
っては、その真相も、一つの事務的な整理に過ぎなかったのであった。 「所が、それが
線香花火なんだよ。厨川君は、薬師仏の背後の壇上にある聖観音の首に、鏡を稍下向きに....
「原爆詩集」より 著者:峠三吉
りと まいおちる 鳩を放ち鐘を鳴らして 市長が平和メッセージを風に流した平和祭は
線香花火のように踏み消され 講演会、 音楽会、 ユネスコ集会、 すべての集りが禁....
「小さな出来事」より 著者:寺田寅彦
番目の八重子は水彩絵具と筆とを買って規定の金額は一度に使ってしまった。末の冬子は
線香花火や千代紙やこまごました品を少しずつしか買わないので、配当されたわずかな金....
「端午節」より 著者:井上紅梅
なく、すなわち学生団体の新に起した許多の事業は、すでに弊害を免れ難く、その大半は
線香花火のように消滅したではないか。全く大差無しである。ただし中国将来の考慮すべ....
「安吾巷談」より 著者:坂口安吾
、もっと、物凄い。カンバスへ本物の靴を張りつけたりしている。 しかし、この会は
線香花火のようにパッと消えて、たちまち跡形もなく失せてしまった。そして、芸術家と....
「血液型殺人事件」より 著者:甲賀三郎
ったから、会葬者も二千名を超え、知名の士だけでも数百名を算した。然し、それは恰度
線香花火のようなもので、葬式がすんで終うと、妻もなく子もない先生の後は、文字通り....
「枯尾花」より 著者:関根黙庵
トルとも、測量の出来ぬくらいである、頓てそれがハラハラと四方に飛散する状は、恰も
線香花火の消るようであった、雨は篠を束ねて投る如きドシャ降り、刻限は午前二時だ、....
「火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
て、釘を打ってもらったが、旧式の轆轤を使って、靴屋のおやじが、シュッ、シュッと、
線香花火式にやってくれた。登山の準備をしたくも、碌なものがないところで、この節の....