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編上げ
「編上げ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
編上げの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「狂言の神」より 著者:太宰治
弥にぶちまけ、二人で泣こうか。ばか。薄きたない。間一髪のところで、こらえた。この
編上げの靴の紐《ひも》を二本つなぎ合せる。短かすぎるようならば、ズボン下の紐が二....
「スモーリヌイに翻る赤旗」より 著者:宮本百合子
更紗の布《プラトーク》を三角に頭へかぶり、ひろい裾《ユーブカ》の下から先の四角い
編上げ靴を出して、婆さんは、若い女車掌に訊いた。 ――サドーワヤへはどう行った....
「ソヴェトの芝居」より 著者:宮本百合子
の先が偶然赤い旗からニュッとこちらを向いて突き出していた。ごくあたり前の黒鞣の半
編上げだ。この靴にたった一つ、あたり前でないものがある。それは、その大きい平凡な....
「なつかしい仲間」より 著者:宮本百合子
の登校であった。襞のどっさりついた短い少女服のスカートをゆさゆささせながら、長い
編上げ靴でぴっちりしめた細い脚で廊下から運動場へ出て来る細面の上には、先生の腹の....
「ある女の生涯」より 著者:島崎藤村
。丁度そこへ例の奥様も顔を見せた。 「これが弟でございます」 とおげんは熊吉が
編上げの靴の紐を結ぶ後方から、奥様の方へ右の手をひろげて見せた。弟が出て行った後....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
トや肩に当《あて》ものをしたり、お乳《ちち》にもあてものをして、胸のところで紐を
編上げたりするシミズを着て、腰にはユラユラブカブカする、今なら襁褓《おしめ》干し....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
出て何とうれしいでしょう。本場で寒中用、スポート用ですから内側が暖く出来ていて、
編上げだから丈夫ですし。底が、釘のあとの(金をとってしまったあと)小さい穴があっ....
「鑢屑」より 著者:寺田寅彦
いたが、はいている靴を見ると、それはなかなか立派なものだった。踵にゴムの着いた、
編上げの恰好のいい美事なのであった。少なくも私の知っている知識階級の家庭の子供の....
「深川の唄」より 著者:永井荷風
子縞《ふたこじま》の尻端折《しりはしおり》、下には長い毛糸の靴足袋《くつたび》に
編上げ靴を穿《は》いた自転車屋の手代《てだい》とでもいいそうな男が、一円|紙幣《....
「雀が森の怪異」より 著者:田中貢太郎
うてあるものがあった。彼は人輪の間にはさまってのぞいた。一方藁莚の端の方には赤い
編上げ靴をはいた双足が出ており、反対の方になった左横には黒っぽい洋服を着た手さき....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
、や、お疲れさま、どうぞとあったので、そこで一同が安心して鞄を投げ出し、埃っぽい
編上げの紐も解いたのである。だが少々渋ったのは桃色のスカートの、鼠色の華奢な眼鏡....
「オスカー・ブロズキー事件」より 著者:妹尾アキ夫
ラスはとなりの台所へはいった。そこのうす暗いランプの光で、きれいに掃除した丈夫な
編上げ靴があるのがみえた。靴をはきかえるために台所の椅子に腰をおろした。だが、む....