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緩急
「緩急〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
緩急の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
捨てた。 自然に冥通の人間の上に、自然が支配する時間の爪の掻き立て方は人間から
緩急調節できた。翁の上に幾たびかの春秋が過ぎた。けれども、翁の齢《よわい》の老《....
「文士としての兆民先生」より 著者:幸徳秋水
るとに外ならず。声音は人耳も怡ましむる者にして其の種は千差万別なるも竟に亦抑揚下
緩急疾徐の相調和するに外ならず。 是れ維氏美学の一節である。近時諸種の訳書に比....
「めでたき風景」より 著者:小出楢重
、不安全と不規則と危険に満ちている。左右にゆらゆら動きながら、思っただけの速度の
緩急を随時に行いつつ走るので心を束縛することがなく、気随気ままを振舞うことが出来....
「影のない犯人」より 著者:坂口安吾
って、なにとぞこの危機を打開していただきたく存じます」 さすがに神蔭流の達人は
緩急を心得ており、並木先生のように、狂六の失言に面と向って難詰するような至らぬと....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
つめるように、色好みの男が女体をみつめるように、全身的な快楽を感じる。彼は話術の
緩急を考え、猫が鼠をじらすように、たのしむのが好きであった。 何か長平の一言が....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
いて、前川さんがはいって来たら、善後策講ずるわ。」 子供だと思っていると、一旦
緩急の場合には、相当頭の働く美和子の顔を、新子は少し呆れて見つめていると、 「そ....
「絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
な役目も務めると云った、一種の秘密境なのである。遊女には、永い苦海の間にも精気の
緩急があって、○○○の肌が死ぬほど鬱とうしく感ぜられ、それがまるで、大きな波の蜒....
「二人町奴」より 著者:国枝史郎
あり、子分を愛する人情は、母の如くに優しくもあれば、父の如くに厳しくもあり、洵に
緩急よろしきを得、財を惜しまずよく散じ、極めて清廉でございました。然るに」と言う....
「あるニュウ・フェイスへの手紙」より 著者:岸田国士
本語に伝えるわけにいかない。そこで、翻訳者は、芝居のセリフとしてゆるされる範囲の
緩急抑揚を、その豊富な語彙をもって自由に創りあげ、われわれの耳に極めて快く響く一....
「ラジオ・ドラマ私見」より 著者:岸田国士
に、幻想を運ぶ心理的「音色」の効果を鈍らせてはならぬのである。語調語勢の波動が、
緩急抑揚の技術を滞りなく生かして行かねばならぬ。 さて、こういうラジオ・ドラマ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
一刹那にあった。胴を輪切るか真っ向を割り付けるか、伎倆の如何、躰形の如何、呼吸の
緩急によって変化縦横! が、どっちみち恐ろしい。 林蔵も猪之松も一所懸命、相手....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
ーレオマイシン、クロロマイセチン、テラマイシンという神族をわが家へ勧請し、一タン
緩急にそなえて崇敬をはらっている。 友人は面倒がはぶけるから大そう喜んで、各員....
「京のその頃」より 著者:上村松園
、時をきめてかどを地唄を流して来る六十余りのお爺さんがあった。それが大変うまく、
緩急をつけて、なかなかちょっと誰にでもはやれない地唄の中の許し物を嗄れた渋い声で....
「日本画と線」より 著者:上村松園
があって初めて色彩を持つもので、色彩を先にすべきものだとは思いません。線の長短や
緩急が互いに交錯して、物象の内面外面を現わす妙味は、到底言葉に云い尽せません。私....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
をかじりつつ、同年輩の青年が既に職業戦線に活躍しある間、学問を為し得る青年は一旦
緩急ある際一般青年に比し遥かに大なる奉公の実を挙ぐるため武道教練に精進すべきは当....