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「緩慢〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

緩慢の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
出帆」より 著者:芥川竜之介
、神経を緊張する気になれない。 そのうちに、船が動きだした。それも、はなはだ、緩慢《かんまん》な動き方で、船と波止場との間の水が少しずつ幅を広くしていくから、....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
なければならぬ程に今までの誤謬に眼を開け。私は前後を顧慮しないではいられない程、緩慢な歩き方はしていない。自分の生命が脅かされているくせに、外界に対してなお閑葛....
赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
していますが、九時五分に至って、最後の階段的変化を示しています。この変化は割合に緩慢な動きをとり、ことに気圧の如きは点線で示すような当夜中央気象台でとった気圧変....
爬虫館事件」より 著者:海野十三
内容液を流し出したんです。しかしそれは一つの大失敗を残しました。流出速度が極めて緩慢だったために、園長の体内に潜入していた弾丸は流れ去るに至らず、そのまま襞の間....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
人形を動かして見ることにしよう」と云って眼の光を消した。 やがて、人形は非常に緩慢な速度で、特有の機械的な無器用な恰好で歩き出した。ところが、そのコトリと踏む....
応仁の乱」より 著者:菊池寛
景には乏しい。活躍する人物にも英雄豪傑はいない。それが十一年もだらだらと続いた、緩慢な戦乱である。 併しだらだらでも十一年続いたから、その影響は大きい。京都に....
毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
線の如きものでは、ぴりぴりちかちかと来て、相手に知れるから、よろしくない。もっと緩慢なる麻痺性のものでないといけぬ。わしの作った神経瓦斯は、全然当人に自覚がない....
地虫」より 著者:小栗虫太郎
で、黙々と歩きはじめたのである。 その足どりには、とうていこの世の人にはない、緩慢沈鬱の気がみなぎっていた。神とはなんだ。人とはなんだ。神は登りつめ、人は登り....
ある自殺者の手記」より 著者:秋田滋
な破綻は、一つとして述べられていない。かえってこの手記は人生のささやかな悲惨事の緩慢な連続、希望というものの消え失せてしまった孤独な生活の最後に襲って来る瓦解を....
褐色の求道」より 著者:岡本かの子
る硝子の外の景色を眺めながら悠っくりフォークを動かしていた。停車場前の広場に降る緩慢な氷雨を通して、町へ斜めに筋を通している寂しい主街に、うるみながら黄いろい灯....
子をつれて」より 著者:葛西善蔵
とは考えなかったもんだから、相当の人格を有して居られる方だろうと信じて、これだけ緩慢に貴方の云いなりになって延期もして来たような訳ですからな、この上は一歩も仮借....
奥羽地方のシシ踊りと鹿供養」より 著者:喜田貞吉
残りの一人が角の無い雌鹿の頭をかぶり、胸には小さい太鼓をつけて、両手で撥を持って緩慢な調子でそれを叩く、その踊りも至って緩やかなもので、大体に妻恋う雄鹿が雌鹿を....
」より 著者:カフカフランツ
とながめ、手でしわをのばし、またふとんの下に押し入れていた。彼女のしぐさは前より緩慢になっていたが、疲れのためではなく、思い出の重荷にあえいでいるためであった。....
西航日録」より 著者:井上円了
もって示し得るなり。シナ人の体貌面相の日本人に異なるは、男女貧富を問わず、一般に緩慢なる相貌を有する点にあり。しかして、その性質もまた緩慢なり、その事業もまた緩....
南半球五万哩」より 著者:井上円了
数の材木のただよいおれるを見る。これ、いわゆるクダナガシなり。諸川の流下すること緩慢にして、渓流といえども水声を聞かざるは、わが国と大いに異なるを覚ゆ。夜十時後....