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「縁板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

縁板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
ると、こんな所で心細うござんすから……よくって」 古藤は何か平凡な返事をして、縁板を踏みならしながら出て行ってしまった。 朝のうちだけからっと破ったように晴....
或る女」より 著者:有島武郎
ら静かにこっちを振り向いて平生《ふだん》と少しも変わらない態度で、柔順に無表情に縁板の上にちょっと膝《ひざ》をついて挨拶した。しかしその沈着にも係わらず、葉子は....
彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
見た景色はいつ見ても好いね」と自分で窓の障子を開けながら、手摺付《てすりつき》の縁板の上へ濡手拭《ぬれてぬぐい》を置いた。 三 敬太郎《けいたろう》はこの瘠《....
親子」より 著者:有島武郎
の寝床のほうからかすかな鼾が漏れ始めた。彼はそれを聞きすましてそっと厠に立った。縁板が蹠に吸いつくかと思われるように寒い晩になっていた。高い腰の上は透明なガラス....
死体蝋燭」より 著者:小酒井不木
の棟をかすめ、大地を崩さんばかりの雨は、時々|砂礫を投げつけるように戸を叩いた。縁板という縁板、柱という柱が、啜り泣くような声を発して、家体は宙に浮かんでいるか....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
もう巣へ帰って風呂を浴びているそうじゃ」 「こいつが、こいつが」 神尾主膳は、縁板を踏み鳴らしているようです。それから大勢の罵《ののし》り合う声、神尾の酔いに....
黒百合」より 著者:泉鏡花
は起きも得なかったが、むっくと立上ると柱に縋って、わなわなと顫えた。ただ森として縁板が颯と白くなったと思うと、水はひたひたと畳に上った。 「ええ、」といって学士....
次郎物語」より 著者:下村湖人
いほどだ。 彼は起き上ると、八方に眼を配りながら、座敷の縁に忍びよった。そして縁板に足のよごれをにじりつけてから、足音を立てないように茶の間の方に行った。 ....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
に及び、忽ちのうちにその全面に射し込んで来て、幾年の風雨に曝らされて朽ちかかった縁板も、やがて人膚ぐらいの温みを帯びるようになる。 その温みを慕って来たものか....
次郎物語」より 著者:下村湖人
言われると、いよいよ涙がとまらなかった。彼は、何か言おうとしては、しゃくりあげ、縁板に突っぱった両手をかわるがわるあげては、眼をこするだけだった。 「父さんは、....
次郎物語」より 著者:下村湖人
」 「先生、僕、申しわけないことをしてしまいました。」 次郎は急いで膝を正し、縁板に両手をついた。 「血書のことが気になるのか。」 と、朝倉先生は、ちょっと....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
をかけた。遅かった。 この時、もう左門は、その独活の皮を剥いたように白い足で、縁板を踏み、地へ下り、染八の面前へまで殺到して来ていた。 「わッ」 染八の肩か....
鼻に基く殺人」より 著者:小酒井不木
、くるりと四方へ、種々雑多な煙草の空箱が積みならべてあった。突き当りの袋棚の下の縁板の上には夜具が敷きっ放され、唐草模様の更紗のカーテンが半分ほど引かれてあった....
五重塔」より 著者:幸田露伴
のみを書きしもあり、何よりかより面倒なる真柱から内法長押腰長押切目長押に半長押、縁板縁かつら亀腹柱高欄|垂木桝肘木、貫やら角木の割合算法、墨縄の引きよう規尺の取....
宝永噴火」より 著者:岡本かの子
った。激しい地震の時には坐禅の両手を腹の前で重ね合わしていることが出来なくて寺の縁板の左右へ思わず突出して支えたりした。これではならぬと強いて指を組み合せ、動く....