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「縫い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

縫いの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
の行燈《あんどう》のまわりでは、姑《しゅうと》のお百と、嫁のお路とが、向い合って縫い物を続けている。太郎はもう寝かせたのであろう。少し離れたところには※弱《おう....
将軍」より 著者:芥川竜之介
「あの靴を壊《こわ》して見給え。」 靴は見る見る底をまくられた。するとそこに縫いこまれた、四五枚の地図と秘密書類が、たちまちばらばらと床の上に落ちた。二人の....
二つの手紙」より 著者:芥川竜之介
その時分には、もう廻りの狭い廊下が、人で一ぱいになって居ります。私はその人の間を縫いながら、便所から帰って参りましたが、あの弧状になっている廊下が、玄関の前へ出....
或る女」より 著者:有島武郎
胸の合わせ目に流れ落ちた。 九 底光りのする雲母色《きららいろ》の雨雲が縫い目なしにどんよりと重く空いっぱいにはだかって、本牧《ほんもく》の沖合いまで東....
或る女」より 著者:有島武郎
もちらほらと見えていた。葉子はこのごろの貞世はほんとうに変だと思いながら、愛子の縫いかけの布を取り上げて見た。それはまだ半分も縫い上げられてはいなかった。葉子の....
碁石を呑んだ八っちゃん」より 著者:有島武郎
うそうそうやっておとなにお遊びなさいよ。婆やは八っちゃんのおちゃんちゃんを急いで縫い上ますからね」 といいながら、せっせと縫物をはじめた。 僕はその時、白い....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
での、ここに連れだつ、この優しい女の心づかいを知ってるか。 ――あれから菜畑を縫いながら、更に松山の松の中へ入ったが、山に山を重ね、砂に砂、窪地の谷を渡っても....
陽炎座」より 著者:泉鏡花
で、米俵やら、筵やら、炭やら、薪やら、その中を蛇が這うように、ちょろちょろと鼠が縫い行く。 あの鼠が太鼓をたたいて、鼬が笛を吹くのかと思った。……人通り全然な....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ま生れたらしい蜻蛉が、群青の絹糸に、薄浅葱の結び玉を目にして、綾の白銀の羅を翼に縫い、ひらひら、と流の方へ、葉うつりを低くして、牡丹に誘われたように、道を伝った....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
に因んだ趣向をした。幇間なかまは、大尽客を、獅子に擬え、黒牡丹と題して、金の角の縫いぐるみの牛になって、大広間へ罷出で、馬には狐だから、牛に狸が乗った、滑稽の果....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
に担いだ、牛頭、馬頭の青鬼、赤鬼。青鬼が前へ、赤鬼が後棒で、可恐しい面を被った。縫いぐるみに相違ないが、あたりが暗くなるまで真に迫った。……大釜の底にはめらめら....
真夏の夢」より 著者:有島武郎
、今は遠い外国に行っているのでした。 ミシンはすこし損じてはいますが、それでも縫い進みました。――人の心臓であったら出血のために動かなくなってしまうほどたくさ....
旅なかま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
な星をちりばめたようですし、そのマントはなん千とないちょちょうのはねをあつめて、縫いあわせたものでした。そのくせ、そんなにしてかざり立てたのこらずの衣裳も、王女....
野のはくちょう」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
大きなほら穴のまえの岩のうえにおりました。そこにはやわらかなみどり色のつる草が、縫いとりした壁かけのようにうつくしくからんでいました。 「さあ、ここで、今夜はお....
良夜」より 著者:饗庭篁村
束なき旅に上りぬ。路用として六円余、また東京へ着して三四ヶ月の分とて三十円、母が縫いて与えられし腹帯と見ゆる鬱金木綿の胴巻に入れて膚にしっかと着けたり。学校の教....