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「縫目〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

縫目の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
女人訓戒」より 著者:太宰治
たと見えて、当時の新聞にも出たそうである。然《しか》しながら数日の後に其の接眼の縫目が化膿《かのう》した為めに――恐らく手術の時に消毒が不完全だったのだろうと云....
外套」より 著者:ゴーゴリニコライ
――それ以下ではどうしてもできなかったのである。何しろ全部が全部、絹糸を使って、縫目を細かく二重にして縫ってから、ペトローヴィッチは縫目という縫目に自分の口でさ....
吉原新話」より 著者:泉鏡花
ぶよぶよとした取留の無い影が透く。 三 大方はそれが、張出し幕の縫目を漏れて茫と座敷へ映るのであろう……と思う。欄干下の廂と擦れ擦れな戸外に、蒼....
武装せる市街」より 著者:黒島伝治
て、ドレスを縫ったり、ほぐしたり、また縫ったりやっていた。真直に、平行に行かない縫目が彼女に気に入らないのだ。 天むきの鼻の一郎は、顔じゅうが眼ばかりのように....
蟹工船」より 著者:小林多喜二
焼ける時のような生ッ臭い臭いがした。熱くなると、居たまらなくなった虱が、シャツの縫目から、細かい沢山の足を夢中に動かして、出て来る。つまみ上げると、皮膚の脂肪ッ....
超人間X号」より 著者:海野十三
者だよ」 X号は、顔をぬっと前につきだした。彼の頭部にある手術のあとのみにくい縫目《ぬいめ》が、警部をふるえあがらせた。 「ややッ、君は死刑囚の火辻軍平だな」....
踊る地平線」より 著者:谷譲次
を押し込んで、ちょっと腹の皮を縫ってあるだけだ。そのままでまたリングへ追いやる!縫目の糸が白く見えている。 何と徹底した苦痛への無同情! 馬は、恐怖にいなな....
星女郎」より 著者:泉鏡花
。 終南日色低平湾。神兮長有有無間。 越の海は、雲の模様に隠れながら、青い糸の縫目を見せて、北国の山々は、皆|黄昏の袖を連ねた。 「神兮長に有無の間にあり。」....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
った。私は縫うことは全くきらいであり完成したものは殆どなかった。人がまっすぐ同じ縫目を連ねてゆくのが不思議にさえ思えた。私が縫うと、針目はよたよた逼いまわってお....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
に置いた。包は縫いつけてあったので、医師は自分の器械箱を持ち出して来て、医療鋏で縫目を切らなければならなかった。中には二つの物が入っていた、――一冊の帳薄と、封....
金銭無情」より 著者:坂口安吾
し、ナゲシの隙間や畳をめくつてみたが分らない。久しく使はない冬の布団をとりだして縫目を解いて綿の間をしらべても見当らない。 「うちに置いてないのよ」 「どこにあ....
一週一夜物語」より 著者:小栗虫太郎
諸鉱地とは、てんで比較にならんのだ。鉄条網もない。電気柵もない。南阿じゃ、着物を縫目まで解いて身体検査をするというが、ここじゃそれほどでもあるまい」 「では、発....
塩原多助一代記」より 著者:三遊亭円朝
て、贋物でも売られてはいかないぜ」 多「なに、私い悉皆検めやんした、事に依ったら縫目を解いて裏返して見べえか」 善「それが気に入って着られるなら買って来るが宜い....
鴎外の思い出」より 著者:小金井喜美子
したか、鼠色で一面に草花の模様でした。袖口だけ残して、桃色の太白二本で、広く狭く縫目を外にしてありました。 「ほととぎす殺しという所だね」と次兄のいわれましたの....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
かし一体、どっちが背だか腹だか、開けた胸も腹も、のっぺらぼうで、人間としての皮の縫目が分りません。 少し上流の方へ伝って行くと、向う左へ切れた、畝道の出口へ、....