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縷々
「縷々〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
縷々の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
証する、――謹んで断罪を待ちます……各位。 吶々として、しかも沈着に、純真に、
縷々この意味の数千言を語ったのが、轟々たる汽車の中に、あたかも雷鳴を凌ぐ、深刻な....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
は、将来のその楽のために造られた階梯であるように考えるらしく、絶望した窮厄の中に
縷々として一脈の霊光を認めたごとく、嬉しげに且つ快げにいって莞爾とした。いまわの....
「山と雪の日記」より 著者:板倉勝宣
とがとけあっている。この自然の美しい香炉からは、神をたたえる白い煙が、高い蒼空に
縷々と昇っていた。そしてその頂上はここよりかなり下にある。ここから見ると可憐な山....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
を見るとかなり多数の知人に配ったらしいが、新聞社を他へ譲渡すの止むを得ない事情を
縷々と訴えたかなり長い手紙を印刷もせず代筆でもなく一々自筆で認めて何十通(あるい....
「省線電車の射撃手」より 著者:海野十三
常に不機嫌だった。大江山捜査課長は油汗を拭う暇もなく、水を浴びたような顔をして、
縷々と陳述した。 「君は、目黒の笹木光吉の情婦である赤星龍子が本郷の小柴木病院で....
「赤外線男」より 著者:海野十三
直ぐ飛んでゆくからというような、当人達でなければ読んでいるに耐えないような文句が
縷々として続いていた。桃枝は学士の内妻に等しい情人だった。彼は手紙を畳むと、ポケ....
「雛妓」より 著者:岡本かの子
、汗だくでふうふう言いながらビールを飲んでた方もあったわ」 お雛妓らしい観察を
縷々述べ始めた。わたくしがかの女に何か御馳走の望みはないかと訊くと、 「では、あ....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
きているのであろうか。定めて情を籠め思いを述べた優艶の文字が、蚕の糸を吐くように
縷々繋がっているのかと思いのほか、いっさいの文句が単にその五文字に尽きているので....
「のんきな患者」より 著者:梶井基次郎
できたこと、だからあなたもぜひ信心をして、その病気を癒《なお》せ――ということを
縷々《るる》として述べたてるのであった。その間吉田は自然その話よりも話をする女の....
「鵞湖仙人」より 著者:国枝史郎
違い棚もあれば床の間もある。床の間には寒椿が活けてある。棚の上には香爐があり、
縷々として煙は立っている。襖もあれば畳もある。普通の立派な座敷であった。 床の....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
抗をし続けていると結局君の損なんだよ」 「反抗している訳では毛頭ない」 根岸の
縷々として尽きない言葉に、支倉は少し面を和げながら答えた。 「然し知らない事は返....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
と辰九郎のなきがらをもいっしょに、お屋敷内の藩士たまりべやに安置しながら、香煙|
縷々《るる》としてたなびく間に、いまし、おみずからご焼香あそばさっていられるとこ....
「採峰徘菌愚」より 著者:佐藤垢石
得意思うべしだ。丘の上の路で仕度をして、帰途についた。電車のなかでも斜酣の話は、
縷々として尽きない。きょうは諸君を初めての案内であったから、終日野山をかけめぐっ....
「旧主人」より 著者:島崎藤村
ては済まないが」から、「御奉公は奥様の御|機嫌《きげん》を取るのが第一だ」まで、
縷々《さんざん》寝物語に聞かされました。忘れもしない。母親に連れられて家《うち》....
「チェーホフ試論」より 著者:神西清
こいところも、特に人好きのするところも、友情も熱情もことごとく欠けていたことを、
縷々と述べている。友人は大勢いたが、その誰とも親友ではなかった。意志によって訓練....