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「縹色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

縹色の前後の文節・文章を表示しています。該当する10件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
箕輪心中」より 著者:岡本綺堂
》とした美少年のおもかげを見せていた。金糸で大きい鰕《えび》を刺繍《ぬい》にした縹色繻子《はないろじゅす》の厚い裲襠《しかけ》は、痩せてすらりとした彼女の身体《....
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
ばかりであった。 これもその美しい絵巻物のなかから抜け出して来た一人であろう。縹色《はないろ》の新しい直衣《のうし》を着た若い公家《くげ》が春風に酔いを醒ませ....
渋江抽斎」より 著者:森鴎外
、水引は牧野家であった。その外家元門弟中より紅白|縮緬の天幕、杵勝名取男女中より縹色絹の後幕、勝久門下名取女|中より中形縮緬の大額、親密連女名取より茶緞子丸帯の....
青年」より 著者:森鴎外
左に二人並んでいるのは、まだどこかの学校にでも通っていそうな廂髪の令嬢で、一人は縹色の袴、一人は菫色の袴を穿いている。右の方にはコオトを着たままで、その上に毛の....
白金之絵図」より 著者:泉鏡花
。鎌倉、横須賀は、勤めにも参った事です―― 時に、乗込みましたのが、二等と云う縹色の濁った天鵝絨仕立、ずっと奥深い長い部屋で、何とやら陰気での、人も沢山は見え....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
の射したのは、そこに焚落した篝火の残余である。 この明で、白い襟、烏帽子の紐の縹色なのがほのかに見える。渋紙した顔に黒痘痕、塵を飛ばしたようで、尖がった目の光....
死者の書」より 著者:折口信夫
女性は、型摺りの大様な美しい模様をおいた著る物を襲うて居る。笠は、浅い縁に、深い縹色の布が、うなじを隠すほどに、さがっていた。 日は仲春、空は雨あがりの、爽やか....
怨霊借用」より 著者:泉鏡花
リざらざらと蛇腹に伸びて、天井から倒に、いずれも女の幽霊が、ぬけ上った青い額と、縹色の細い頤を、ひょろひょろ毛から突出して、背筋を中反りに蜘蛛のような手とともに....
反抗」より 著者:豊島与志雄
て彼女が、笑みを含んだ眺め方をしたので、周平は漸く心が落着いた。ただ彼女が、水浅縹色《みずあさぎいろ》の長い毛糸の肩掛をしてるのが、一寸変に思えた。 周平は黙....
私本太平記」より 著者:吉川英治
た。 案内して来た家臣をそこで遠ざけてから、その人影は、静かに段を上ってきた。縹色(露草染め)のむら濃の狩衣に、よい太刀を佩いた武者烏帽子の武人である。年のこ....