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「繁い〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

繁いの前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
未開な風景」より 著者:宮本百合子
降りた奴あねえ。 「もっとこちらへいらっしゃい」 音や人目や色彩や、それが余り繁いので、つまり無いと同じ雑踏の中で油井はみのえの手を執り、自分の傍へ引きよせた....
小祝の一家」より 著者:宮本百合子
になると親父をはげまして自分から今川焼の屋台を特別風当りのきつい、しかし人通りの繁い川岸通りまで引き出して一時頃まで稼ぎ、小学を出た弟の勇は銀行の給仕に通った。....
二つの庭」より 著者:宮本百合子
ている。坐っている爪先が白い生きもののように落着きなく動いていることは、多計代の繁いまばたきの工合でしれた。 しばらくそうしていて、やがて多計代がその沈黙にた....
道標」より 著者:宮本百合子
な唇のあたりが思い出された。ふっさりした庇髪、亢奮で輝いている黒い眼と濃い睫毛の繁いまばたき。伸子は横たわっているベッドの白いかけものの下でかすかに身じろぎをし....
播州平野」より 著者:宮本百合子
とに向って、人家の雨戸は用心ぶかくとざされていた。すきま洩れる明りばかりが、時々繁い雨脚とぬれて光る道とを照した。 ひろ子は、一度ならずトラックがこしらえた深....
ロンドン一九二九年」より 著者:宮本百合子
本みたいに念の入った恰好をした英国の兵士達が剣がわりの杖を小脇に挾みながら人通の繁いハイド・パアク・コオナアで横目を使った。そこでは乗合自動車《オムニバス》を降....
人民戦線への一歩」より 著者:宮本百合子
た。 そこ、ここにこうして市場まがいのものが出はじめた。そして、街頭は、人出が繁いのであるが、さて、今日地道な生活の人々はもう値段かまわぬ買物をして暮す気分で....