繁み[語句情報] »
繁み
「繁み〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
繁みの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
れに驚かされたように、障子の内では人の起ちあがる気配がしたので、半七は再び南天の
繁みに隠れると、縁をふむ足音が力なくきこえて、和吉は縁づたいにしょんぼりと影のよ....
「親子」より 著者:有島武郎
ぎった。父は捨てどころに困じて口の中に啣んでいた梅干の種を勢いよくグーズベリーの
繁みに放りなげた。 監督は矢部の出迎えに出かけて留守だったが、父の膝許には、も....
「空中墳墓」より 著者:海野十三
地とは、目白の坂を下りて早稲田の方へ走る自動車の中に在った。山吹の里公園の小暗い
繁みの中に入ったとき、思いがけなくドカンという銃声と共に、ウィンドー・グラスが粉....
「爬虫館事件」より 著者:海野十三
だった。彼はそこまで行くと、園内の賑かさを背後にして、塗りつぶしたような常緑樹の
繁みに対して腰を下した。 「ああ、何もかも無くなった!」 帆村は一本の煙草をつ....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
は、有名な鶴の噴水のある池のところから、洋風の花壇の裏に抜けてゆく途中にある深い
繁みであった。小径の両側には、人間の背よりも高い笹藪がつづいていて、ところどころ....
「地球盗難」より 著者:海野十三
坊ーや。代志坊! どこへいったのよオ」 大隅学士も俄かに狼狽し、その辺の雑草の
繁みをやたらに掻きまわしてみたが、尋ねる赤ちゃんの姿は遂に見出しかねた。お美代は....
「河明り」より 著者:岡本かの子
なり三本になり、距てて一本になる。そして亭々とした華奢な幹の先の思いがけない葉の
繁みを、女の額の截り前髪のように振り捌いて、その影の部分だけの海の色を涼しいもの....
「火星兵団」より 著者:海野十三
、ちくちく痛いのです。それから、だんだんと正気にもどってみますと、僕は、さつきの
繁みの中にころがっていたんです」
「ふん、さつきというと、この屋敷にも、たくさん....
「死者の書」より 著者:折口信夫
一人だに、 わが配偶に来よ。 ひさかたの 天二上 二上の陽面に、 生ひをゝり
繁み咲く 馬酔木の にほへる子を 我が 捉り兼ねて、 馬酔木の ....
「尹主事」より 著者:金史良
や騷ぎ立てながらやって來た。主事は驚いて何かを氣遣うらしく私を傍の暗いアカシアの
繁みの中へ急いで連れ込んだ。そして姿を隱し息を殺したまま、彼等が通り過ぎて遠くへ....
「貞操問答」より 著者:菊池寛
のように思えるのに、小径を辿って行くに従って、両側の白樺並木の、しだれた若い緑の
繁みごしに、ヴィラの傾斜のなだらかな屋根と、カーテンの揺れている白い框の窓が見え....
「十二神貝十郎手柄話」より 著者:国枝史郎
立を抜けて先へ進んだが、やがて田沼家の横手へ出た。ひときわ木立が繁っていて、その
繁みに沿いながら、田沼家の土塀が立っていた。 「この辺最も手薄でござる」 こう....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
て敵意を現わす部落もあった。バンバイヤ河の水源のバンバイヤ湖へ来た時に突然|葦の
繁みから毒矢を射出す者があった。味方の土人が五、六人それに当たって地に倒れた。そ....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
う!」 「やりましょう!」と浪之助も云った。 夜の暗さをクッキリ抜いて、木立の
繁みに隠見して、特に血のような赤い色の、小田原提燈が果実のように揺れて、山の手の....
「ベートーヴェンの生涯」より 著者:片山敏彦
だ精霊どもの息吹きも漂わぬ、つらぬき難く、達しがたく、測知しがたくひろがっている
繁みの厚い暗がりに包まれてただ自分の霊だけがあった――あたかも、(無限性に有限な....