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繁雑
「繁雑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
繁雑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「野呂松人形」より 著者:芥川竜之介
は、大抵、洋服を着てゆく。袴《はかま》だと、拘泥《こうでい》しなければならない。
繁雑な日本の 〔e'tiquette〕 も、ズボンだと、しばしば、大目に見られや....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
間の街道筋は、山陰、山陽、西海、東海諸道からの要路に当たって、宿駅人馬の継立ても
繁雑をきわめると言われたころだ。街道付近の村々からは人足差配方の肝煎りが日々両三....
「獄中生活」より 著者:堺利彦
うものになり了った。 この前後に姓名、年齢、原籍、罪名等について、それはそれは
繁雑きわまる取調べがあった。薩摩なまり、東北なまり、茨城弁など、数多の看守が立ち....
「「沈黙」の話」より 著者:豊島与志雄
このアルメニアの民話の大要である。この調子でゆけば、国際間の問題は凡て、あらゆる
繁雑な懸引や手続を脱して、驚異的な簡明さで片附くようになるだろう。 この民謡は....
「風俗時評」より 著者:豊島与志雄
う。肌につけるものから順次に比較しても明かだし、和装の半襟や帯とその付属品一切の
繁雑さを考えても明かである。けれども、この種の彼女等は、簡単なるがために洋装をし....
「大捕物仙人壺」より 著者:国枝史郎
び捨てにするのを失礼とした。「お箸」「お香の物」「お櫛」「お召物」―― 彼女は
繁雑に耐えられなくなった。 それに一緒に住んで見れば、柔弱の伊太郎も鼻に付いた....
「演劇の様式――総論」より 著者:岸田国士
新たな傾向をもたらした。 それらの種目をいちいちここで細かに挙げることはもはや
繁雑にすぎるであろう。ただ、今日まで、一般に通用している名称だけをいくつか例にと....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
がかりは無いはずであった。
幕府も、それを知っておりながら、反対論に怯えたり、
繁雑な手続きを長々と調べたり――斉彬は、そういう役人、大名、輿論に対して、ただ一....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
た不吉なものが、無理やり割り込んで来たように思われてならない。形容のつかない色々
繁雑なことや、手に負えないめんどうなことが、今日から数《かず》限りとなくひき起こ....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
、ごけにんの血を引いている。煮豆屋の婆が口を利いて、築地辺の大会社の社長が、事務
繁雑の気保養に、曳船の仮の一人ずみ、ほんの当座の手伝いと、頼まれた。手廻り調度は....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
事《とじ》たるのみに非ず、複雑なる北斎の作品に関する複雑なる評論をして更に一層の
繁雑を来《きた》さしむるの嫌《きらい》あればなり。例へば北斎が描ける幽霊の図を批....
「西瓜」より 著者:永井荷風
で出掛けるのに迷惑と面倒とを人にかけるのは心やましいわけである。出発の間際に起る
繁雑な事情とその予想とがいつも実行を妨げてしまうのであった。人間も渡鳥のように、....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
しの言うことが分かるでしょう。
中古風の試験室、奇怪なる用途を
有する、
繁雑にして痴重なる器械
ワグネル(竈の傍にて。)
恐ろしいベルの響....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
為兼の『玉葉集』の風体がうまれたと思う。そして『風雅集』へつづくのである。それは
繁雑なくらい念入りに自然をこまかく見る行き方であるが、その結果として、『玉葉』『....
「硝子を破る者」より 著者:中谷宇吉郎
係の人もたまらないことであろうが、われわれも非常に迷惑する。そして益々電報事務を
繁雑にするのである。 話の勢いで、通信関係だけに苦情を言った形になったが、これ....