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繊巧
「繊巧〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
繊巧の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
ては二説ある。一説によれば chicane の略で裁判沙汰を縺《もつ》れさせる「
繊巧《せんこう》な詭計《きけい》」を心得ているというような意味がもとになっている....
「旅愁」より 著者:横光利一
ートル・ダムの怪獣を支えている。また一度び横へ廻れば、胴から延び下った両翼の姿の
繊巧無類なある緊張、その優雅さ、――久慈はあらゆる運動態の原型がここに蒐ったかと....
「太十と其犬」より 著者:長塚節
て畑一杯に麦藁が敷かれた。蔓は其上を偃った。蔓の末端は斜に空を向いて快げである。
繊巧な模様のような葉のところどころに黄色な花が小さく開く。淡緑色の小さな玉が幾つ....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
、精練されたる簡素さが、まったくの簡素ではなくて意志から来た簡素さが、古い社会の
繊巧な花が、全体を支配していた。年少の「野蛮人」たるクリストフは、それを半ばしか....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
うしゃ》であってもいけない。ただ芸術家でなければならない。文化の事業においては、
繊巧を事としてはいけない、ただ崇高を事としなければいけない。この条件において理想....
「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」より 著者:寺田寅彦
非常に巧妙な鋭利なところがある。不細工な粗放な線が出ているかと思うとまた驚くべく
繊巧な神経的な線が現われている。云わば一つの線の交響楽のようなものではあるまいか....
「八犬伝談余」より 著者:内田魯庵
長じておる。線の太い歴史物よりは『南柯夢』や『旬殿実々記』のような心中物に細かい
繊巧な技術を示しておる。『八犬伝』でも浜路や雛衣の口説が称讃されてるのは強ち文章....
「浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
っと堅い感じのものが多いのですが、それが錦絵になりますと、とても暢び暢びとした、
繊巧なものになっております。これなどは確かに、彫工の水際立った手際が、線条をあれ....
「江戸芸術論」より 著者:永井荷風
が》政演《まさのぶ》ら天明の諸家を経て後《のち》、浮世絵は遂《つい》に寛政時代の
繊巧|緻密《ちみつ》の極点に到達せるなり。 今寛政の画風を代表せる栄之《えいし....
「十九の秋」より 著者:永井荷風
ゅす》の靴の真白な踵《かかと》に触れて動くようにしているのを見て、いかにも優美|
繊巧《せんこう》なる風俗だと思った。はでな織模様のある緞子《どんす》の長衣の上に....
「夏の町」より 著者:永井荷風
楊《みずやなぎ》の多い綾瀬《あやせ》あたりの風景をよろこぶ自分に対して更に新しく
繊巧《せんこう》なる芸術的感受性を洗練せしめた。ゾラは『田園(Aux champ....
「古寺巡礼」より 著者:和辻哲郎
瓦に初代道八の作があったと言われているから、たぶん文化ごろの建築であろう。非常に
繊巧なもので、すみずみまで気が配ってある。茶室のほかに座敷が二間、二階一室で、坪....
「中世の文学伝統」より 著者:風巻景次郎
であった。何故に純正詩歌の上では、新詩型の誕生がなされないで、短歌の上に独特の一
繊巧体を創造したにすぎなかったのか。これは『新古今集』の特殊な性質をはっきりとさ....