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繊弱
「繊弱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
繊弱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「手紙」より 著者:芥川竜之介
ょっと滑稽に思っています。それからまた一人を豪放《ごうほう》な男にすれば、一人を
繊弱《せんじゃく》な男にするのにもやはり微笑《ほほえ》まずにはいられません。現に....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
し仆《たお》されたりしあたりを過ぎぬ。無念の情は勃然《ぼつぜん》として起これり。
繊弱《かよわ》き女子《おんな》の身なりしことの口惜《くちお》しさ! 男子《おと....
「新生」より 著者:島崎藤村
と同じようにして、復た彼女をなだめようとした。すると節子はすこし顔色を変えながら
繊弱《かよわ》い女の力で岸本の胸のあたりを突き退けた。
こうした節子の低気圧も....
「蠅男」より 著者:海野十三
引きつけそうになった。もしも帆村が一段と声を励まして気を引立ててやらなかったら、
繊弱いこの一人娘は本当に気が変になってしまったかもしれない。 「おおお父つぁん。....
「支倉事件」より 著者:甲賀三郎
れた鼠の悲しい無駄な努力だった。浅田はジリ/\と彼女を羽交締めにした。 静子は
繊弱い女の身の弱い心から、殊に対手は今まで親切にして呉れた浅田ではあるし、声を挙....
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
、もはやこの街道に初雪を見た。 人|一人動いたあとは不思議なもので、御年も若く
繊弱い宮様のような女性でありながらも、ことに宮中の奥深く育てられた金枝玉葉の御身....
「敵討札所の霊験」より 著者:三遊亭円朝
一 一席申し上げます、是は寛政十一年に、深川元町猿子橋際で、巡礼が仇を討ちましたお話で、年十八になります
繊弱い巡礼の娘が、立派な侍を打留めまする。その助太刀は左官の才取でございますが、....
「松の操美人の生埋」より 著者:三遊亭円朝
こぼち、麻の法衣に身を※し、仏心になると云ったではござらぬか、その仏に仕える者が
繊弱い婦人を彼の如く縛って置くをなぜ止めん、なぜ助けん、其の許の心底の訝しき事は....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
年は、刻下無意識になった恋人に対して、為に生命を致すその報酬を求めたのではない。
繊弱小心の人の、知死|期の苦痛の幾分を慰めんとしたのである。 拓は夢に、我は棄....
「駅夫日記」より 著者:白柳秀湖
ぼんやりとして立ち尽した。 辛い人の世の生存に敗れたものは、鳩のような処女の、
繊弱い足の下にさえも蹂み躙られなければならないのか。 翌日、千代子は化粧を凝ら....
「アーニイ・パイルの前に立ちて」より 著者:小林一三
よいのだろうかという疑問を抱くことになる。米人の偉大なる体格美を仰ぎ見て、我々の
繊弱な素質を危ぶむごとくに、精神的低迷の瀬戸際に立たざるをえないのである。 洋....
「純情狸」より 著者:佐藤垢石
を振り上げて、小みどりの頭から背中、お尻の方へかけて、滅多打ちに打ち据えたから、
繊弱い女子の身の、間もなく呼吸が絶えてしまったのである。 例によって一人の武士....
「唇草」より 著者:岡本かの子
の破り口を逆にしてとんとんとはたいた。微かにお歯黒をつけた蚕豆の粒の一つと一緒に
繊弱い豆の虫が一匹落て出た。 虫の早稲の米粒のような白い地体は薄樺色の皮膚に透....
「五重塔」より 著者:幸田露伴
て、恩あるその人の敵に今は立ち居る十兵衛に連れ添える身の面を対すこと辛く、女気の
繊弱くも胸をどきつかせながら、まあ親方様、とただ一言我知らず云い出したるぎり挨拶....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
面して、そこに自分の小さいながらも人生の血路を切り開いて行った健気な態度、自分の
繊弱い性質をどうにかして支持して行った苦心、そこに立派に少年の一つの理想が握られ....