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繊細
「繊細〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
繊細の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「邪宗門」より 著者:芥川竜之介
驚かさなければ止まないと云う御勢いでございましたが、若殿様の御好みは、どこまでも
繊細で、またどこまでも優雅な趣がございましたように存じて居ります。たとえば大殿様....
「或る女」より 著者:有島武郎
うだった。普通の男ならばたぶんさほどにも思わないに違いない家の中のいさくさなどに
繊細すぎる神経をなやまして、それにつけても葉子の慰撫《いぶ》をことさらにあこがれ....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
、荒くれた自然の中の姫君なる亜麻の畑はやがて小紋《こもん》のような果《み》をその
繊細な茎の先きに結んで美しい狐色に変った。
「こんなに亜麻をつけては仕様《しよう....
「富士」より 著者:岡本かの子
手を翳してほほ笑んだ。 山の頂は二つに岐れていた。尋常な円錐形の峯に対し、やや
繊細《かぼそ》く鋭い峯が配置よく並び立っている。この方は背丈けは他より抽んでてい....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
筆を削り上げた。そして粗末な画学紙の上には、たくましく荒くれた君の手に似合わない
繊細な線が描かれ始めた。 ちょうど人の肖像をかこうとする画家が、その人の耳目鼻....
「演技指導論草案」より 著者:伊丹万作
傷つけないように努めなければならぬ。そのためには文字どおりはれものにさわるような
繊細な心づかいを要する。なかんずく俳優が自信を喪失する誘因になるような言動は絶対....
「蠅男」より 著者:海野十三
らしかった。もちろんそれは帆村のやさしき心づかいで、この場の異変にこれ以上彼女の
繊細な神経を驚かせたくないという心づかいであったに違いない。 怪物蠅男は、見る....
「食魔」より 著者:岡本かの子
きを絶った一つの物質である。しかも何やら律動しているところは、現代に判らない巧妙
繊細な機械仕掛けが仕込まれた古代人形のようでもある。蒼黒く燻んだ古代人形はほぼ一....
「鞄らしくない鞄」より 著者:海野十三
しまったのであろう。恐《おそ》らくそれは広い海の中であったことと思われる。彼女の
繊細《せんさい》なる手首が紐でこすられて血が出、それが紐の切れ端に残ったことは確....
「什器破壊業事件」より 著者:海野十三
た。額の奥から、一番前に出ている陽明門の廂まで、奥行が二寸あまりもあって、極めて
繊細な彫がなされてあった。これはよくある一枚彫なのであろうが、このように精巧緻密....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
っと解けて頬を離れる。成程、渚のではない。その渚が――女だ、髪にはどこまでも目が
繊細い――雪を透かして、 「まあ、長い、黒い、美しい……どこまでも雪の上を。――....
「新時代女性問答」より 著者:岡本かの子
くなった勢もありはしないか。 かの子 ここの所|一寸そういう風な状態ですね。極く
繊細な感覚的な拾物程度のものは一部の人の中に入って来てはいるけど。 一平 だから....
「ガルスワーシーの家」より 著者:岡本かの子
なサンルームとなって、通りすがりの男女にちょっと盗見したい気持を起させる。非常に
繊細な工夫によって建てられた快適な住居であることがわかる。そしてガルスワーシーが....
「浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
るのだろうと考えております。 肉筆で見ますと、筆の調子は、あんなにまで暢びた、
繊細な美しさを有っているようにはありません。もっと堅い感じのものが多いのですが、....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
して私設大使を任ずる心持であったろう。が、二葉亭の頭は活きた舞台に立つには余りに
繊細|煩瑣に過ぎていた。北京に放浪して親友川島浪速の片腕となって亜細亜の経綸を策....