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繋ぎ
「繋ぎ〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
繋ぎの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
に滴《したた》って翁を苦しめた。 取り付きようもない娘の心にせめて親子の肉情を
繋ぎ置き度い非情手段から、翁は呪《のろ》いという逆手《ぎゃくて》で娘の感情に自分....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
―平和というよりも単なる無事に執着しようとしている。何事もなく昨日の生活を今日に
繋ぎ、今日の生活を明日に延ばすような生活を最も面倒のない生活と思い、そういう無事....
「戦争中止を望む」より 著者:伊丹万作
戦意をうんぬんするが、いままでのごとく敗けつづけ、しかもさらに将来に何の希望をも
繋ぎ得ない戦局を見せつけられ、加うるに低劣無慙なる茶番政治を見せつけられ、なおそ....
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
キーをやっている映画館の或るものでは、即時映画を中止し、ラジオをトーキーの器械へ
繋ぎ、応急放送を観客に送って、非常に感謝された。 歌舞伎劇場では、演劇をやめ、....
「夜泣き鉄骨」より 著者:海野十三
いる様子であった。そして、申し合わせたように、隣り同士がピタリと身体を寄せ、手を
繋ぎ合わせていた。 「十三人!」たしかに、全員が、入口に近い壁際に、鮃のように、....
「死の快走船」より 著者:大阪圭吉
り深谷氏の二人の同乗者は、その泡の浮いた粘土質の底の海岸で、深谷氏の屍体を船尾へ
繋ぎ、白鮫号をすっかり空にして自分達も降りてしまったわけだ。ところで、この茶褐色....
「かんかん虫」より 著者:有島武郎
厚い胸で、大きな腰で、腕ったら斯うだ。 と云いながら彼は、両手の食指と拇指とを
繋ぎ合わせて大きな輪を作って見せた。 面相だってお前、己れっちの娘だ。お姫様の....
「夜叉ヶ池」より 著者:泉鏡花
い。今の世は仏の末法、聖の澆季、盟誓も約束も最早や忘れておりまする。やッと信仰を
繋ぎますのも、あの鐘を、鳥の啄いた蔓葛で釣しましたようなもの、鎖も絆も切れますの....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
一献、心ばかりの粗酒を差上げとう存じまする。まず風情はなくとも、あの島影にお船を
繋ぎ、涼しく水ものをさしあげて、やがてお席を母屋の方へ移しましょう。」で、辞退も....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
、名古屋扇も開くに及ばず、畳んだなり、肩をはずした振分けの小さな荷物の、白木綿の
繋ぎめを、押遣って、 「千両、」とがぶりと呑み、 「ああ、旨い、これは結構。」と....
「妖僧記」より 著者:泉鏡花
の観ありき。乞食僧はその年紀三十四五なるべし。寸々に裂けたる鼠の法衣を結び合せ、
繋ぎ懸けて、辛うじてこれを絡えり。 容貌甚だ憔悴し、全身黒み痩せて、爪長く髯短....
「故郷」より 著者:井上紅梅
であった。住み慣れた老屋と永別して、その上また住み慣れた故郷に遠く離れて、今食い
繋ぎをしているよそ国に家移りするのである。 わたしは二日目の朝早く我が家の門口....
「白光」より 著者:井上紅梅
して初等試験から高等試験まで立続けに及第し……村の物持はあらゆる手段をもって縁を
繋ぎ求め、人々は皆|神仏のように畏敬し、深く前の軽薄を悔いて気を失うばかり……自....
「死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
縄、釣縄、抜縄、何でもそれは熟練していた。捕縄の掛け方に就いても、雁字搦み、亀甲
繋ぎ、松葉締め、轆轤巻、高手、小手、片手上げ、逆結び、有らゆる掛け方に通じていた....
「活人形」より 著者:泉鏡花
る苦しさにさては毒をば飲まされたり。かの探偵に逢うまでは、束の間欲しき玉の緒を、
繋ぎ止めたや
繋ぎ止めたやと絶入る心を激まして、幸いここが病院なれば、一心に駈け込....