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繞
「繞〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
繞の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「金将軍」より 著者:芥川竜之介
率いて進みて大唐の軍を伐《う》つ。大唐、便《すなわ》ち左右より船を夾《はさ》みて
繞《めぐ》り戦う。須臾《とき》の際《ま》に官軍《みいくさ》敗績《やぶ》れぬ。水に....
「路上」より 著者:芥川竜之介
手を見ると、青玉《サファイア》を入れた金の指環《ゆびわ》が、細っそりとその小指を
繞《めぐ》っていた。俊助はそれもまた美しいと思った。
「大学の正門前の横町《よこ....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
かった。が、勿論老紳士は少しもそんな事には気がつかない。青い煙草の煙が、鼻眼鏡を
繞《めぐ》って消えてしまうと、その煙の行方を見送るように、静に眼を本間さんから離....
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
なるらしかった。
彼はなるべく人を避けた。そうして多くはたった一人、その部落を
繞《めぐ》る山間の自然の中《うち》に時を過ごした。自然は彼に優しかった。森は木の....
「時代閉塞の現状」より 著者:石川啄木
、じつに、父兄の財産を食い減すこととむだ話をすることだけである。 我々青年を囲
繞《いぎょう》する空気は、今やもうすこしも流動しなくなった。強権の勢力は普《あま....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
い、稲妻のように流れて、靄のかかった中に、土のひだが数えられる、大巌山の根を低く
繞って消えたのは、どこかの電燈が閃いて映ったようでもあるし、蛍が飛んだようにも思....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
的に達する手段ではないが故に無目的といったのである。緩慢な、回顧的な生活にのみ囲
繞されている地上の生活に於て、私はその最も純粋に近い現われを、相愛の極、健全な愛....
「貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
たのである。 蒼ざめた小男は、第二の石段の上へ出た。沼の干たような、自然の丘を
繞らした、清らかな境内は、坂道の暗さに似ず、つらつらと濡れつつ薄明い。 右斜め....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
きとなく、飜然と軽く体を躱わす、形のない、思いのままに勝手な音の湧出ずる、空を舞
繞る鼓に翼あるものらしい、その打囃す鳴物が、――向って、斜違の角を広々と黒塀で取....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
ような中を抜けてふとここへ顕れたが、坂下に大川一つ、橋を向うへ越すと、山を屏風に
繞らした、翠帳紅閨の衢がある。おなじ時に祭だから、宵から、その軒、格子先を練廻っ....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
銑太郎には叔母に当る。 この路を去る十二三町、停車場|寄の海岸に、石垣高く松を
繞らし、廊下で繋いで三棟に分けた、門には新築の長屋があって、手車の車夫の控える身....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
花火屋のある処は暗いものの例となっている位で、店の真中に一本の燈心を灯し、これを
繞って飾られている火薬に、朱書された花火という字が茫然と浮出している情景は、子供....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
見霽の座敷もある。あの低い松の枝の地紙形に翳蔽える葉の裏に、葦簀を掛けて、掘抜に
繞らした中を、美しい清水は、松影に揺れ動いて、日盛にも白銀の月影をこぼして溢るる....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
ていることがあるので、注意深い眼を見張って桜の幹に片手をかけつつ、くるりと向うへ
繞って行く粂吉を見ることがある。私もしばらくの間は必ず一度は粂吉の眼をつけたとこ....
「本所両国」より 著者:芥川竜之介
るのにも退屈した。僕の目に触れるものは半ば出来上った小公園である。或はトタン塀を
繞らした工場である。或は又見すぼらしいバラックである。斎藤茂吉氏は何かの機会に「....