»
繭
「繭〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
繭の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
って仕込まれた。女は歌垣に加わって歌舞する手並も人並以上に優れたが、それよりも、
繭を口に含んで糸を紡ぎ出し、機糸の上を真櫛でもって掻き捌《さば》く伎倆の方が遥に....
「みちのく」より 著者:岡本かの子
《つきだ》した低いがっしりした二階家では窓から座敷《ざしき》に積まれているらしい
繭《まゆ》の山の尖《さき》が白く覗《のぞ》かれた。 「近在で春蚕《はるご》のあが....
「籠釣瓶」より 著者:岡本綺堂
のとお光も思っていた。粗末ではあるが春着にでもと送ってくれた一反《いったん》の山
繭《やままゆ》が、丁度お目見得の晴着となったのであった。いくら奉公でも若い女が着....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
「うむ。すまないねえ、水戸君」 「元気を出して下さいよ。船へあがるまでは……」
繭玉が二つ、もつれ合ったような恰好で、博士を背に水戸は深海軟泥につまづきながら蹌....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
向うに坐った、飾を挿さぬ、S巻の濡色が滴るばかり。お納戸の絹セルに、ざっくり、山
繭縮緬の縞の羽織を引掛けて、帯の弛い、無造作な居住居は、直ぐに立膝にもなり兼ねな....
「とむらい機関車」より 著者:大阪圭吉
のつく日でやはり月に二回、それだけが公休で毎週ではありません……ええと、それから
繭市はまだ出ませんが、卵市なら五日置きにあります……まあ、その他には……そうそう....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
にいる老婦人が久しく耳の疾にかかって医師の治療を受けると、医師はその耳から大きな
繭のごとき虫を取り出した。老婦人が去った後、瓠の籬でかこって盤をかぶせて置くと、....
「温泉」より 著者:梶井基次郎
一度驚くにちがいない。グレートヘンである。評判の美人である。彼女は前庭の日なたで
繭を※ながら、実際グレートヘンのように糸繰車を廻していることがある。そうかと思う....
「奇賊は支払う」より 著者:海野十三
恐るべき脅迫状が舞いこんだ。 “脅迫状。拝啓、来る十一月十一日を期し、貴殿夫人|
繭子どのを誘拐いたすべく候間お渡し下されたく、万一それに応ぜざるときは貴殿は不愉....
「霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
起でもないものに思われるでございましょうが、私どもから観れば、それは一|疋の蛾が
繭を破って脱け出るのにも類した、格別不思議とも無気味とも思われない、自然の現象に....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
っているのである。 犠牲者はその時から献身者の地位に立たされねばならなかった。
繭に籠っていた蛹が蛾と化り、不随意に見えた世界を破って、随意自在の世界に出現する....
「荒蕪地」より 著者:犬田卯
て親父には死なれ、待望の米価は、ことに浜口緊縮内閣の出現によって一俵七円に下り、
繭のごときは一貫二円という大下落で、この地方の重要産物である木炭のごときも四貫俵....
「瘤」より 著者:犬田卯
らずどしどし有志らへ貸し出してよ、それであの瓦落くって土地は値下り、米も値下り、
繭も何もかも八割九割も下っちまったんだもの――いや、そればかりならまだいいんだよ....
「米」より 著者:犬田卯
を下りたその中年の男――選挙ブローカーもやれば、墓碑の下文字も書く、蚕種、桑葉、
繭の仲買いもやれば、雑穀屋の真似もやると言ったような存在――俗称「塚屋」で通って....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
貴婦人の肩を押え付けていかにも苦しそうに見えて居る。で頭には小さなブータン製の山
繭の赤い頭掛を懸けて、少し俯向き心になって眼を閉って居られるです。その端にはこの....