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纏着
「纏着〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
纏着の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「婦系図」より 著者:泉鏡花
鬢をちょいと掻きながら、袖を女中の肩に当てて、 「お前もやっぱり言うんだもの、半
纏着た奥様が、江戸に在るものかね。」 「だって、ねえ、めのさん。」 とお源は袖....
「青年」より 著者:森鴎外
である。まさか江戸時代の柳橋芸者の遺風を慕うのでもあるまいが、昨今松さんという絆
纏着の兄いさんに熱くなって、お辰姉えさんの大目玉を喰い、しょげ返っているとはお気....
「東京要塞」より 著者:海野十三
しい身なりをしている。 大道も狭いと云わんばかりに蹣跚いてゆく酔漢の背後に、半
纏着の男はつつと迫っていった。 「あっ、な、なにをする――」 と酔漢が愕きの声....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
へついて左へ折曲ろうとする角家の小店の前に、雑貨らしい箱車を置いて休んでいた、半
纏着の若い男は、軒の藤を潜りながら、向うから声を掛けた。「どこへ行くだ、辰さん。....
「歌行灯」より 著者:泉鏡花
開ける。 「ええ、吃驚すら。」 「今晩は、――饂飩六ツ急いでな。」と草履穿きの半
纏着、背中へ白く月を浴びて、赤い鼻をぬいと出す。 「へい。」と筒抜けの高調子で、....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
んて、そりゃなかったんでしょうけれど、ほんに思えば思わるるとやらだわね。」 半
纏着の蘭菊は、指のさきで、火鉢の縁へちょいと当って、 「お稲ちゃんの方でも、嬉し....
「菎蒻本」より 著者:泉鏡花
標の残った、縁日果てた番町|通。なだれに帯板へ下りようとする角の処で、頬被した半
纏着が一人、右側の廂が下った小家の軒下暗い中から、ひたひたと草履で出た。 声も....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
」 「隠居さん、一つお買いなすっちゃどうです。」 と唐突に云った。土方|体の半
纏着が一人、床几は奥にも空いたのに、婆さんの居る腰掛を小楯に踞んで、梨の皮を剥い....
「照葉狂言」より 著者:泉鏡花
れぬ。 「しのぶさん、お火鉢。」 「あい。」と云いしが※して、土間より立ったる半
纏着の壮佼を麾き、 「ちょいと、火鉢をね。」 「おい。」とこちら向く。その土間な....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
、芸人を引張込んで雲井を吹かす、酒を飲む、骨牌を弄ぶ、爪弾を遣る、洗髪の意気な半
纏着で、晩方からふいと家を出ては帰らないという風。 滝太郎の祖父は母親には継父....
「魔像」より 著者:林不忘
と思っておりますよ」 「何を二人で感心しておるのだ。口の利きようでみると、その半
纏着《はんてんぎ》のやつは、武士のようだが――」 「いかにも、拙者は武士でござる....
「小曲」より 著者:橋本五郎
が三時間たって、田中君は馬鹿々々しいこの物語の結末に逢着した。 二人の、半
纏着の人間が、その門の前までやって来て、行くのか帰るのか、例の轍の穴を指しながら....
「寄席行灯」より 著者:正岡容
れと江戸っ子は濁音を嫌ったもので、「神田」は「かんた」「駒形」は「こまかた」「袢
纏着」は「はんてんき」と当然言った。「かんだ」や「こまがた」や「はんてんぎ」では....
「遁走」より 著者:葛西善蔵
堀の方へと歩いた。樹木の茂った丘の崖下の低地の池のまわりには、今日も常連らしい半
纏着の男や、親方らしい年輩の男や、番頭らしい男やが五六人、釣竿を側にして板の台に....
「春心」より 著者:田中貢太郎
には鳥の柔毛が浮んでいた。右の方の横手の入口に近い処に小さな稲荷の祠があって、半
纏着の中年の男がその前に蹲んでいた。広巳は鵜に興味がなくなったので、天水桶の傍を....