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纏綿
「纏綿〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
纏綿の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
《ほうふつ》した。
それは、道徳家としての彼と芸術家としての彼との間に、いつも
纏綿《てんめん》する疑問である。彼は昔から「先王《せんおう》の道」を疑わなかった....
「開化の良人」より 著者:芥川竜之介
も私とその男との間には、――あるいは私たちとその男との間には、始めからある敵意が
纏綿《てんめん》しているような気がしたのです。ですからその後《ご》一月とたたない....
「路上」より 著者:芥川竜之介
井を知った俊助は、今日《きょう》まであの黒木綿の紋附にそんな脂粉《しふん》の気が
纏綿《てんめん》していようとは、夢にも思いがけなかった。そこで思わず驚いた声を出....
「西郷隆盛」より 著者:芥川竜之介
突《つっ》ついてでもいるらしい。滑《なめら》かな上方弁《かみがたべん》の会話が、
纏綿《てんめん》として進行する間に、かちゃかちゃ云うフォオクの音が、しきりなく耳....
「忠義」より 著者:芥川竜之介
に、また消し難い憎しみの色をも、読んだのである。
その中《うち》に、主従の間に
纏綿《てんめん》する感情は、林右衛門の重ねる苦諫に従って、いつとなく荒《すさ》ん....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、ラザレフ殺害者の追求を放棄しなければならなくなった。と云うのは、四百年の昔から
纏綿としていて、臼杵耶蘇会神学林以来の神聖家族と云われる降矢木の館に、突如真黒い....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
リカシイとに鼻|蠢かす歯の浮くような文芸家はいるが、人生に対する透徹なる批判と、
纏綿たる執着と、真摯なる態度とを持して真剣に人生の愛着者たらんと欲する人は無い。....
「戦時旅行鞄」より 著者:海野十三
ない一通の部厚い書面が届いた。博士が封を切って中を読んでみると、巻紙の上には情緒
纏綿たる美辞が連なって居り、切に貴郎のお出でを待つと結んで、最後に大博士王水険|....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
である。「旅ゆく」はいよいよ京へお帰りになることで、名残を惜しむのである。情緒が
纏綿としているのは、必ずしも職業的にのみこの媚態を示すのではなかったであろう。ま....
「作男・ゴーの名誉」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
なかった、なぜならば、スコットランドの貴族の家柄に、人間並をはるかに越して濃厚に
纏綿しているところの高慢と狂気と不思議な悲哀との雲がここにも絡みついているからで....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
で小柴をしむるが如く、こよいそさまとしめあかす 多くは甚内自作の歌詞で、情緒|
纏綿率直であるのが、江戸の人気に投じたのであった。 深編笠で二人ながら、スッポ....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
つく。性霊を写すと言う処まで進んだ「アララギ」の写生説も、此短歌の本質的な主観|
纏綿の事情に基くところが多いのである。 短歌と近代詩と 短歌は、万葉を見て....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
化気分がマダ残っていたとはいえ、沼南がこの極彩色の夫人と衆人環視の中でさえも綢繆
纏綿するのを苦笑して窃かに沼南の名誉のため危むものもあった。果然、沼南が外遊の途....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
を断念して外交方面へ方向を転じたが、学校が思うようにならず、その上に一家の事情が
纏綿して、三方四方が塞がったから仕方がなしに文学に趨ったので、初一念の国士の大望....
「「明治のおもかげ」序にかえて」より 著者:喜多村緑郎
くないことは、八人組も御多聞に洩れないのが多かった。いずれも情歌の作品には情緒|
纏綿という連中だったが、茶屋酒どころか、いかがわしい場所へ足を入れるものは殆ど尠....