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纏足
「纏足〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
纏足の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「首が落ちた話」より 著者:芥川竜之介
った。
それが見えなくなると、今度は華奢《きゃしゃ》な女の足が突然空へ現れた。
纏足《てんそく》をした足だから、細さは漸《ようや》く三寸あまりしかない。しなやか....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
藁屑、玻璃のかけらなど、――そんなものゝ堆積がそこらじゅう一面にちらばっていた。
纏足の女房は、小盗市場の古びた骨董のようだ。顔のへしゃげた苦力は、塵芥や、南京豆....
「赤い貨車」より 著者:宮本百合子
の前を中国の女が、ゴムでつるした色つき毬《まり》を売って歩いた。雪の長い並木道を
纏足《てんそく》で中国の女は黒く、よちよち動いた。並木道の外れの電車路に、婆さん....
「広場」より 著者:宮本百合子
って並んでいる向日葵の種売りや林檎売り、色紙細工の花傘の玩具を売っている黒い服の
纏足した支那婦人などを眺めた。どうしても外套を引つけずにはいられないような感動は....
「二つの庭」より 著者:宮本百合子
ような顔色の上に古風なひさし髪を結い、めいせんの日本服にエビ茶の袴をはいていた。
纏足《てんそく》した小さな足で不自由そうに歩いた。教室の一番うしろの席にいて、伸....
「道標」より 著者:宮本百合子
雪のある楡《にれ》の並木の間の短い斜面を、下の小道まで辷りっこしている子供たち。
纏足《てんそく》をして、黒い綿入ズボンに防寒帽をかぶった中国の女が、腕に籠を下げ....
「惜別」より 著者:太宰治
周君の親友なら、こんど私は君たち二人に研究の Thema を与えてやってもよい。
纏足の Gestalt der Knochen など、どうだろうね。なるべくなら....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
こず》らせた。 支那の明の成化間石州の民|桑※《そうちゅう》、幼より邪術を学び
纏足《てんそく》女装し、女工を習い寡婦を粧《よそお》い、四十五州県に広く遊行し人....
「坂」より 著者:宮本百合子
素頭で片手に赤い小さいロシア革の銭入れを握ったなり、内心の止り難いものに押されて
纏足をした支那女の物売りなどがいる並木路《ブルワール》の間をずっと歩いて行った。 〔一九三五年一月〕....
「故郷」より 著者:井上紅梅
事を非常に手柄にして『犬ぢらし』を掴んでまるで飛ぶように馳け出して行ったが、あの
纏足の足でよくまああんなに早く歩けたものだね」 (犬ぢらしはわたしどもの村の養鶏....
「風波」より 著者:井上紅梅
六斤の頭の上の蝶々とんぼはその時すでに一つの大きな辮子に変っていた。彼女は近頃
纏足を始めたが、やはりもとのように七斤ねえさんの手助けをして、十六本の釘を打った....
「我が人生観」より 著者:坂口安吾
。やがて、人力車で南雲さんへ通うことができるようになったが、部屋の中で靴をはいて
纏足の女のような足どりで、壁づたいに一周したり、夜更けに靴をだきしめて眠っている....
「紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
な拇趾だけがさながら、大|箆のように見えるのだった。 それは、言わずと知れた、
纏足だったのである。 「これを見たら、慈悲太郎の聞いた、足音の主が何者であったか....
「赤げっと 支那あちこち」より 著者:国枝史郎
鮮やかに示し、見る人の眼を(勿論主として男性の眼を)引くようにしたものだそうだ。
纏足をしている女などは絶対に見られなかった。これはもう男の断髪令が出た以前に
纏足....
「上海」より 著者:横光利一
開けた古靴の群れの中に転げたマンゴ、光った石炭、潰れた卵、膨れた魚の気胞の中を、
纏足の婦人がうろうろと廻っていた。 この雑然とした街角の奥に婆羅門の寺院が聳え....