»
纒
「纒〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
纒の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
も大きい恋じゃ。しょせん成らぬのは知れてあるわ」 自分の胸のあたりへ蛇のように
纒《まと》いかかっている女の長い黒髪を無雑作《むぞうさ》に押しのけて、頼長は沓《....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
簾をくぐると、狭い店にはお時のほかにもう一人の男が来ていた。唐桟《とうざん》の半
纒を着て平ぐけを締めたその男の風俗が、堅気の人間でないことは半七にもすぐに覚られ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ほかの座敷へ廻っている間に、この窓からそっとぬけ出して……。今のうちに荷物をよく
纒めてお置きなさいよ」 この相談が廊下に忍んでいた庄太の耳にも洩れたので、彼は....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ねえとは云わせねえぞ」 馬子は辰蔵の胸ぐらを引っ掴んで小突きまわすと、辰蔵も半
纒をぬいで起ち上がった。そばに十四五の少女がぼんやり突っ立っているが、相手の権幕....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
が、ついでに付け加えて置きたいのは、その明くる年に桐畑と津の国屋とに二組の縁談の
纒まったことであった。一方は常吉と文字春とで、一方は勇吉とお雪であった。常吉は二....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
紙鳶屋に化けるのみか、元園町の角には市商人のような小屋掛けの紙鳶屋が出来た。印半
纒を着た威勢のいい若い衆の二、三人が詰めていて、糸目を付けるやら鳴弓を張るやら、....
「砂書きの老人」より 著者:上村松園
いがやって来ていたが、その中に五十歳ぐらいのきたならしい爺さんが、絣木綿のぼろを
纒って白の風変りな袴をつけ、皺くちゃな顔には半白の鬚など生やして門々を訪れてまわ....
「巴里の唄うたい」より 著者:岡本かの子
フランは少しむっとした。 喋り好きの彼等が長時間討議し合ってやっと一つの決議が
纒った。それははやり唄うたいを巴里の表通へも流して出られるようドュフランにその筋....
「真鬼偽鬼」より 著者:岡本綺堂
もはいると思って、偽幽霊の狂言をかいたらしいのです。無論それには甚吉の親たちから
纒まった物を受取ったに相違ありますまい。弟の伊八という奴も、兄貴と同じような道楽....
「坑鬼」より 著者:大阪圭吉
ようと云うに、五百尺の地底は、激しい地熱で暑さに蒸せ返っていた。そこには、一糸も
纒わぬ裸の世界があった。闇の中から、臍まで泥だらけにして鶴嘴を肩にした男が、ギロ....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
ながら、そもそも勝氏が一身を以て東西の間に奔走周旋し、内外の困難に当り円滑に事を
纒めたるがためにして、その苦心の尋常ならざると、その功徳の大なるとは、これを争う....
「浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
でしょうか。あの彫りの巧さ、刷り上げの巧さ、そういうものが重なり重なりして、あの
纒まった芸術品が出来上るのですから、私は作家のみならず、そういう工人たちにも多く....
「画道と女性」より 著者:上村松園
あ強いて言えば、目まぐるしいほど後から後から移り変って行く流行の激変に、理想的な
纒まりがないとでもいうような不満なものがあるからだともいえましょう。 ....
「座右第一品」より 著者:上村松園
じた私の帳面に、その図がはまり切れなくなりました。あと二寸も余地があれば、縮図が
纒まるのに残念なことやと思いますと、そのままでやめてしまうのが大変心残りに思われ....
「健康と仕事」より 著者:上村松園
で公主という品位を生かしもし殺しもするのでずいぶんと思い悩んだが、構図がすっかり
纒まってから三日目にやっとそれを掴むことができたのである。博物館や図書館へ運んだ....