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纜
「纜〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
纜の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
それぎり身を起す気色《けしき》もなく、また前のように泣き入ってしまった。
彼は
纜《ともづな》を松の枝に結ぶと、身軽く岩の上へ飛び上った。そうして女の肩へ手をか....
「俊寛」より 著者:芥川竜之介
りれば、
「天に仰ぎ地に俯《ふ》し、悲しみ給えどかいぞなき。……猶《なお》も船の
纜《ともづな》に取りつき、腰になり脇になり、丈《たけ》の及ぶほどは、引かれておわ....
「或る女」より 著者:有島武郎
ちのけにして介抱にかかった。
二一
絵島丸はシヤトルに着いてから十二日目に
纜《ともづな》を解いて帰航するはずになっていた。その出発があと三日になった十月十....
「疑問の金塊」より 著者:海野十三
目の前に見える。二人は意気揚々と本庁へ引上げていったことだろう。 そのとき、解
纜を知らせる銅鑼の音が、船首の方から響いてきた。いよいよお別れだ。私は帽子に手を....
「薬草取」より 著者:泉鏡花
事とは思われなかったろうと考えます。 十里四方には人らしい者もないように、船を
纜った大木の松の幹に立札して、渡船銭三文とある。 話は前後になりました。 そ....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
頭は、もう屋形船の方へ腰を据えた。 若衆に取寄せさせた、調度を控えて、島の柳に
纜った頃は、そうでもない、汀の人立を遮るためと、用意の紫の幕を垂れた。「神慮の鯉....
「白金之絵図」より 著者:泉鏡花
お人の、他所の番地をずがずがお弁別のないはその筈よ。 硫黄が島の僧都一人、縋る
纜切れまして、胸も苦しゅうなりましたに、貴女、その時、フトお思いつきなされまして....
「伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
げるまでもござりませぬ、五十鈴川の末、向うの岸、こっちの岸、枝の垂れた根上り松に
纜いまして、そこへ参る船もござります。船頭たちがなぜ素袍を着て、立烏帽子を被って....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
りながら、これも裸の肩で躍って、だぶりだぶりだぶりだぶりと同一処にもう一艘、渚に
纜った親船らしい、艪を操る児の丈より高い、他の舷へ波を浴びせて、ヤッシッシ。 ....
「取舵」より 著者:泉鏡花
なり。 さるほどに汽船の出発は大事を取りて、十分に天気を信ずるにあらざれば、解
纜を見合すをもて、却りて危険の虞寡しと謂えり。されどもこの日の空合は不幸にして見....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
っそりした水に声を立てて艪をぎいーぎい。 砂利船、材木船、泥船などをひしひしと
纜ってある蛤町の河岸を過ぎて、左手に黒い板囲い、※と大きく胡粉で書いた、中空に見....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
の類、活毛さえまじって、女が備える、黒髪が取りつつんで凄いようです。船、錨、――
纜がそのまま竜の形になったのなど、絵馬が掛かっていて、中にも多いのは、むかしの燈....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
、大橋を正面に、峰、山を右に望んで、橋添には遊廓があり、水には蠣船もながめだけに
纜ってあって、しかも国道の要路だという、通は賑っている。 この土地へ来て、第三....
「西航日録」より 著者:井上円了
し、泉氏の宅にて丘道徹氏および山名、西尾等の諸氏に会す。 二十一日未明、門司解
纜。海上風波あり。西航五百里、シャンハイ河口なる呉淞に達せしは二十二日夜半なり。....
「南半球五万哩」より 著者:井上円了
行中なるも、好意にて別杯を具せらる。夜に入りて帰船す。 七日、晴れ。午後五時解
纜す。崎陽三十六湾、春色を装ってわが行を送る。たちまちにして暮雲雨をはらし、鎮西....