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罅
「罅〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
罅の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
たとえば、千ポンドの錘《おも》りをつけようと、この風のなかは往けぬよ。しかし、氷
罅《クレヴァス》をくだって洞を掘ったら、どうだ」
「なるほど」ダネックもともども....
「宇宙の始まり」より 著者:アレニウススヴァンテ
は永遠の闇が覆うであろう。いよいよ没落してしまうまでにはその火焔は幾度か新しい裂
罅を開いて再び復活しようとあせり、多分幾度かは持ち直すこともあるであろう。これは....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
光学に関するものをやっていました。分光器の調整を壊されたり、X線発生装置の管球に
罅をこしらえられるのを嫌って、掃除人は勿論のこと、嫂さえなかなか入れず、いつもは....
「蠅男」より 著者:海野十三
だ函のような建物。――それらは幾十年の寒さ暑さに遭って、壁体の上には稲妻のような
罅が斜めにながく走り、雨にさんざんにうたれては、一面に世界地図のような汚斑がべっ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
があったのだ。そして、中途にある、十二宮の円華窓に細工して、あの楽玻璃めいた、裂
罅を塞いでしまったのだよ」と法水は峻烈な表情をして、再び二人の意表に出た。ああ、....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
マヌエラは二人の格闘もわすれ、呆然とながめていた。 大地の亀裂が蜈蚣のような
罅からだんだんに拡がるあいだから、吹きだした地下水がざあっと傾いだ方へながれてゆ....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
らせてゆく。まばゆい、曼珠沙華のような極光の倒影。吹雪、青の光をふきだす千仭の氷
罅。――いたるところに口を開く氷の墓の遥かへと、そのエスキモーは生きながら呑まれ....
「大脳手術」より 著者:海野十三
……それに、もし珠子さんがそれを知ったら、どんなに嘆くと思う。君達の間に、きっと
罅が入るぞ、それも別離の致命傷の
罅が……」 「そんなことが有ってたまるか」 「大....
「今昔ばなし抱合兵団」より 著者:海野十三
たとき、だしぬけにものすごい音響が聞え、同時に、壁がぴりぴりと震え、天井に長々と
罅が入った。 「うわーっ、めずらしいじゃないか、爆裂音だ。どうしてこんな地下まで....
「東京要塞」より 著者:海野十三
た。 公表されたところによると、このバラバラの記念塔は、大使館内で荷を解かれ、
罅や傷の有無を十分に確かめた上で、三日後には華々しくS公園へ搬びこまれ、盛大な儀....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
る。突然、数丈もある氷塔が頭上に落ちてくるだろう。また、なにもない足下に千仭の氷
罅が空くだろう。なんていうのがザラだろうという訳も、すべてあの氷河の猛速の禍いだ....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
した骨折もなく、砕片も見当らない。創傷を中心に細い朱線を引いて、蜘蛛糸のような裂
罅が縫合部を蜒り走っているが、何れも左右の楔状骨に迄達している。そして、流血が腫....
「卵塔場の天女」より 著者:泉鏡花
れど、またお姑に苛められに……」 「で、子供たちは幾人だい。」 「えへ。」 と
罅裂れたように、口許で寂しく笑って、 「十一人や。」 「産みやがったなあ! その....
「一ノ倉沢正面の登攀」より 著者:小川登喜男
真下辺りで、二ノ沢の落込む少し上で、雪渓はくびれたようになって幅一|米半ほどの裂
罅が雪渓を上下に切り裂いている。 自分たちは、是非奥の壁に近づいて見たいと思っ....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
父は怖るべき危害の迫り来るを予知せずに突然死んだのであろう。 市郎は蝋燭を岩の
罅間に立てて、一先ず父の亡骸を抱き起したが、脈は疾うに切れて、身体は全く冷えてい....