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「羅衣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

羅衣の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
、女はその白い胸や腕を誇るように露《あら》わして、肌も透き通るような薄くれないの羅衣《うすもの》を着ていた。千枝松はその顔をのぞいて、忽《たちま》ちあっと叫ぼう....
正義と微笑」より 著者:太宰治
取り巻くのは、愛か、憎か。 喜と悩とにおそろしく交る交る襲われて、 穉かった昔の羅衣に身を包もうとして、 又目を下界に向けるようになるのだ。 好いから日は己の背....
魚玄機」より 著者:森鴎外
した。 遊崇真観南楼。覩新及第題名処。 雲峯満目放春晴。 歴々銀鈎指下生。 自恨羅衣掩詩句。 挙頭空羨榜中名。 玄機が女子の形骸を以て、男子の心情を有していた....
原爆詩集」より 著者:峠三吉
空間に堆積する 無韻の沈黙 太陽をおしのけた ウラニューム熱線は 処女の背肉に羅衣の花模様を焼きつけ 司祭の黒衣を 瞬間 燃えあがらせ 1945, Aug. ....
鉄路」より 著者:蘭郁二郎
ボックスの中に、京子のピチピチとくねる四肢を捕えた。 京子は、ボイルのような、羅衣を着ていた。然し、その簡単な衣裳は、却って彼女の美に新鮮を与え青色の模様の下....
蒼白い月」より 著者:徳田秋声
ような石が敷かれてあった。水がびちょびちょと、それらの小石や砂を洗っていた。青い羅衣をきたような淡路島が、間近に見えた。 「綺麗ですね」などと桂三郎は讃美の声を....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
、用心して起ち上がった。 見ると、彼方から女の影が夕靄につつまれてくる。女は、羅衣の被衣をかぶり、螺鈿鞍を置いた駒へ横乗りに騎って、手綱を、鞍のあたりへただ寄....
宮本武蔵」より 著者:吉川英治
なことを常にいっているが、彼は実はなかなか洒落者で、非常に見得をかざる質だった。羅衣の裃、舶載織の袴、草履も笠も新しいのを出させ、岩間家の仲間に、 「馬はないか....
三国志」より 著者:吉川英治
面の黄色の旗に、六十四|卦の印を書き、なお三重目には、束髪の冠をいただいて、身に羅衣をまとい、鳳衣博帯、朱履方裙した者を四人立て、左のひとりは長い竿に鶏の羽を挟....
三国志」より 著者:吉川英治
ス。 故ニ都ヲ銀坑洞ト称シ、南蛮王ノ巣トシ、宮殿楼閣|悉ク銀映|緑彩、人ハミナ羅衣ニシテ烈朱臙脂濃紫黄藍を翻シ、又好ンデ、橄欖ノ実ヲ噛ミ、酒壺常ニ麦醸果酵ヲ蓄....
私本太平記」より 著者:吉川英治
賢は、轅越しに、近々と何事か承っていたが、やがてのこと、み手ずから賜わった香染の羅衣と、蒔絵の細太刀を拝して、こなたの群れのうちへ退がって来た。 「ご決断はお早....
私本太平記」より 著者:吉川英治
である。川向うの丘に立っている一人の男が、竹竿のさきに、童子の水干らしい紫いろの羅衣をくくしつけて、しきりに振りぬいている様子なのだ。――武蔵野の紫草にちなんで....