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「羊歯〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

羊歯の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
河童」より 著者:芥川竜之介
とくとく》と彼らの超人ぶりを示し合っていました。たとえばある彫刻家などは大きい鬼羊歯《おにしだ》の鉢植《はちう》えの間に年の若い河童《かっぱ》をつかまえながら、....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
じっと足もとの石を見つめていた。水沫《しぶき》を浴びた石の間には、疎《まばら》に羊歯《しだ》の葉が芽ぐんでいた。 「ですから私に勾玉を一つ、御よこしなさいと云う....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
煽《あお》りながら濁歌《だみうた》をこだまにひびかせて行った。幾抱えもある椴松は羊歯《しだ》の中から真直に天を突いて、僅《わず》かに覗《のぞ》かれる空には昼月が....
筧の話」より 著者:梶井基次郎
眼はひとりでに下へ落ちた。径の傍らには種々の実生《みしょう》や蘚苔《せんたい》、羊歯《しだ》の類がはえていた。この径ではそういった矮小《わいしょう》な自然がなん....
死の快走船」より 著者:大阪圭吉
ら後方鳥喰崎の丘にかけて、棘のような細かい雑草や、ひねくれた灌木だの赤味を帯びた羊歯類の植物だのが、遠慮なく繁茂している。そしてその上方には、原始的な喬木の類が....
黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
名状しようのない媚臭で、鼻孔を塞いでくるのだった。入口には、いかにも前史的なヤニ羊歯が二基あって、その大きな垂葉を潜って凝固土の上に下りると、前面には、熱帯植物....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
息」と呟きながら腐木の株へ腰をかけた。それから四辺を見廻わした。青々と茂っている羊歯の間から矢車草の白い花が潮に浮かんだ泡沫のようにそこにもここにも見えているの....
白峰山脈縦断記」より 著者:小島烏水
とがあるのだそうで、その痕跡の仆木が、縦横に算を乱している、そうして腐った木に、羊歯だの、蘇苔が生ぬるく粘びついて、唐草模様の厚い毛氈を、円く被せてある、踏む足....
谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
壁画を見るようで、強く暗く、不安な威圧を与える、さすがに谷の底だけに、木の根にも羊歯が生えたり、石にも苔が粘びりついたりして、暗い緑に潜む美しさが、湿おっている....
不尽の高根」より 著者:小島烏水
喬木帯のモミやツガから、ぶら下る長いサルオガセ、濃い緑の蘚苔類と混生する大久保|羊歯の茂り具合などは、まだ目に残っている。そればかりではない、足利時代の『鷹筑波....
宝島」より 著者:佐々木直次郎
られたりしていた。ただあの釜から流れ下っている小川のところだけでは、苔や、何かの羊歯や、地を這っている小さな灌木などが、こんもり生い茂っていて、砂地の中にまだ緑....
醜い家鴨の子」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
かまえて冷い空中に捲き上げるのでした。霰や雪をもよおす雲は空に低くかかり、大烏は羊歯の上に立って、 「カオカオ。」 と、鳴いています。それは、一目見るだけで寒さ....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
、ごうごうと雷が鳴る。その雨に、たちまちジャングルが濁海と化し――独木舟が、大|羊歯のなかを進んでゆくようになる。わけても、この皇后オウガスタ川はおそろしい川で....
黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
いそれは此谷初めての雪――宝殿の甍をすべり落ちた貴い珠玉の一片であった。 直ぐ羊歯などの生えた下から水を噴いて濘り易い山腹にかかる、それも少し、また河原へ下り....
黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
下げる。今度は木があるので、身軽な中村君や私には楽であった。小さい沢を渡り、両面羊歯の繁りに茂った薄暗い森林の中を横さまに通り抜けて、沢伝いに下り着いた所は、仕....