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羊皮
「羊皮〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
羊皮の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「老妓抄」より 著者:岡本かの子
り去って抓り止めていられなかった。鰻《うなぎ》の腹のような靱《つよ》い滑かさと、
羊皮紙のような神秘な白い色とが、柚木の感覚にいつまでも残った。 「気持ちの悪い…....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
盆景的に矯絶な形をした木の根細工のようでもあり、その――一面に細かい亀裂の入った
羊皮紙色の皮膚を見ると、和本の剥がれた表紙を、見るような気もするのだった。すでに....
「パルチザン・ウォルコフ」より 著者:黒島伝治
鉄に蹴られた礫が白樺の幹にぶつかる。馬はすぐ森を駈けぬけて、丘に現れた。それには
羊皮の帽子をかむり、弾丸のケースをさした帯皮を両肩からはすかいに十文字にかけた男....
「安重根」より 著者:谷譲次
うに活気づいている。 安重根 (陽気に独語)ハルビンは寒いからな。 最後に露人の
羊皮外套を取り出す。 安重根 これだ。 柳麗玉がいそいそと外套を着せる。引きずる....
「黄金虫」より 著者:佐々木直次郎
しゃく》だった。――僕は絵が上手だと言われているんだからね。――だから、君があの
羊皮紙の切れっぱしを渡してくれたとき、僕はそいつを皺《しわ》くちゃにして、怒って....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
ンジ一個七十|哥して、よほどの好運児のみが食べられるのに当る。 バルナウル――
羊皮外套。 セミパラチンスク――イルトゥイシ河沿岸。キルギス人多し。金に光る回....
「サレーダイン公爵の罪業」より 著者:チェスタートンギルバート・キース
た。そこで例の公爵から貰った名刺を見せて自分が宛名のフランボーだというと給仕頭の
羊皮紙色の陰気な顔にも生命の浮動がほのみえて、身体をブルブル震わせながらもいんぎ....
「加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
出来ている。床に巌丈な寝台がある。寝台の側に卓があり、その上に書物が載せてある。
羊皮紙で作った厚い書物で、表紙には漢文字で「明智篇」と記されてある。 「はてな」....
「二都物語」より 著者:佐々木直次郎
い間じかに日光と外気とにあたらなかったために、すっかり色が褪せて、一様にくすんだ
羊皮紙のような黄色になっているので、どれがどれだか見分けもつきかねるくらいであっ....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
、ほんとに奇もなく変もないこの貧弱の手箱から私の運命を左右するような世にも奇怪な
羊皮紙が忽然として出て来ようとは…… 果然、その夜から間もないある日、袁世凱の....
「ムツェンスク郡のマクベス夫人」より 著者:神西清
ごしに、カテリーナ・リヴォーヴナの部屋へ射しこむのだった。 中庭をよこぎって、
羊皮の半外套を肩へ引っかけ、あくびまじりに十字を切りながら、納屋から台所へ、年寄....
「「黒死館殺人事件」序」より 著者:甲賀三郎
の筆法で行けば、小栗虫太郎はレトルトや坩堝の並んでいる机の上で、鵞ペンを持って、
羊皮紙の上に小説を書いているに違いない。 小栗虫太郎は近き将来に探偵小説作家に....
「嫁入り支度」より 著者:神西清
下まで、「まあ」という歓声を発しているのを耳にするのだ。 虫よけの粉と、新しい
羊皮の靴のにおいがしていた。靴のほうは風呂敷にくるんで、わたしのそばの椅子にのせ....
「追放されて」より 著者:神西清
るこった、呆れ返ったもんだね。」 その岸には、中背の痩せた老人が、狐の半外套に
羊皮の帽子をかぶって待っていた。馬から少し離れた所に立って、じっと動かない。思い....
「日本文化の特殊性」より 著者:戸坂潤
東西文化の媒介処であった。例えば支那の植物性繊維紙はこうしてヨーロッパに這入り、
羊皮紙を駆逐した。活版も亦、古く支那から東漸したようである。もし印度も東洋の内に....