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羊腸
「羊腸〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
羊腸の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
と、武士はズカズカと萩原街道の方へ進んで、松の木立から身を斜めにして見おろすと、
羊腸《ようちょう》たる坂路のうねりを今しも登って来る人影は、たしかに巡礼の二人づ....
「密林荘事件」より 著者:海野十三
かに彼は日増しに元気づきました。丁度三日目の朝のこと、僕たちは山荘を一緒に出て、
羊腸の小径を湖岸へ抜け、そこで右へ行き、小瀬川を少し川上へ歩いたところで釣を始め....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
こう言って、続けざまに叫び且つ走りました。
道は、山が高く頭上を圧し、谷が
羊腸《ようちょう》として下をめぐっている。谷の底から実に鮮かな炎が、紫色の煙と共....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
ぎって生い繁っている。背中のスウッとする冷たさが、むらさきの山気とともに流れて、
羊腸《ようちょう》たる小みちを登るにつれて、城下町の屋根が眼の下に指呼される。
....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
た。彼の魂は一つの山嶽《さんがく》であった。彼はそのあらゆる道を進んだ。ある道は
羊腸《ようちょう》として木陰にたゆたっていた。ある道は日にさらされて険峻《けんし....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
…。」 夏の夕方。 彼はある村の上方の山中を散歩していた。帽子を手にもって、
羊腸たる山路を上っていった。ある曲がり角まで行くと、道は二つの斜面の間の影の中を....
「曙覧の歌」より 著者:正岡子規
さいただきまつるもろ手ささげて これも前の歌と同じく下二句軽くして結び得ず。
羊腸《つづらおり》ありともしらで人のせに負《おわ》れて秋の山ふみをしつ これ....
「二葉亭追録」より 著者:内田魯庵
いたりした。坦々砥の如き何|間幅の大通路を行く時も二葉亭は木の根|岩角の凸凹した
羊腸折や、刃を仰向けたような山の背を縦走する危険を聯想せずにはいられなかった。日....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
ー、カックーという杜鵑の声が幾度か聞こえます。その時に
ヒマラヤの樹の間岩間の
羊腸折
うらさびしきに杜鵑啼く
そういう淋しい山の間を通って参りまし....
「長崎の鐘」より 著者:永井隆
をふき始めていた。 十四日。畦別当、川床、飛田、小谷の諸地区、行程九キロ。路は
羊腸《ようちょう》の小径とまでゆかないが山腹を登り谷間に下り、点々と散在する家を....
「三国志」より 著者:吉川英治
オオ、あれへ行くのがそうだ。見給え」 と、楼台に誘って、彼方の山岳を指さした。
羊腸たる山谷の道を、蟻のように辿ってゆく車駕や荷駄や大兵の列が見える。 やがて....
「三国志」より 著者:吉川英治
つがなく渡るを得た。対岸は山地で、進むほど峻嶮となってくる。土人にきけば「夾山の
羊腸」とよぶ所だとある。 馬岱軍は、大山の谷を挟んで陣を取り、その日のうちに、....
「三国志」より 著者:吉川英治
地上に、再びかくの如き人を見ることはあるまい」 旌旗色なく、人馬声なく、蜀山の
羊腸たる道を哀々と行くものは、五丈原頭のうらみを霊車に駕して、空しく成都へ帰る蜀....
「黒部川を遡る 」より 著者:木暮理太郎
かを選ばなければならなかった。が、結局遠くとも安全な道に就くことにした。長い長い
羊腸の登りが始まる。この道は八年前に助七のつけたものだそうだ。森の中は思った程ひ....