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「美濃紙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

美濃紙の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
或る女」より 著者:有島武郎
宿にはいって行った。横浜という所には似もつかぬような古風な外構《そとがま》えで、美濃紙《みのがみ》のくすぶり返った置き行燈《あんどん》には太い筆つきで相模屋《さ....
カインの末裔」より 著者:有島武郎
み睨《にら》み、色々な事を彼れに聞《き》き糺《ただ》した。そして帳場机の中から、美濃紙《みのがみ》に細々《こまごま》と活字を刷った書類を出して、それに広岡|仁右....
東海道五十三次」より 著者:岡本かの子
め一人娘の私に絵画を習わせた。私は十六七の頃にはもう濃く礬水《どうさ》をひいた薄美濃紙を宛《あ》てがって絵巻物の断片を謄《す》き写しすることも出来たし、残存の兜....
虞美人草」より 著者:夏目漱石
》の風に薄い顔を曝《さら》すうちは銭のごとく細かである。色も全く青いとは云えぬ。美濃紙《みのがみ》の薄きに過ぎて、重苦しと碧《みどり》を厭《いと》う柔らかき茶に....
道草」より 著者:夏目漱石
《さくらだ》がすっかり分るんだからね」 彼は床の間の上にある別の本箱の中から、美濃紙《みのがみ》版の浅黄《あさぎ》の表紙をした古い本を一、二冊取り出した。そう....
」より 著者:夏目漱石
状態に甘んじて一生を送る兄夫婦がいかにも憫然《ふびん》に見えた。彼らは障子を張る美濃紙《みのがみ》を買うのにさえ気兼《きがね》をしやしまいかと思われるほど、小六....
斜陽」より 著者:太宰治
さった。 整理がすんでから、私はお母さまからお金をいただき、百円紙幣を一枚ずつ美濃紙に包んで、それぞれの包みに、おわび、と書いた。 まず一ばんに役場へ行った....
梅津只円翁伝」より 著者:杉山萠円
と今度は両手を突いて頭を下げよと云うので、又その通りにすると翁は自筆の短冊を二枚美濃紙に包んで紙縒で縛ったものを筆者の襟元から襦袢と着物の間へ押し込んだ。 「そ....
『吾輩は猫である』中篇自序」より 著者:夏目漱石
灯下ニ書ス 東京 子規 拝 倫敦《ロンドン》ニテ 漱石 兄 此手紙は美濃紙へ行書でかいてある。筆力は垂死の病人とは思えぬ程慥《たしか》である。余は此....
大菩薩峠」より 著者:中里介山
わかります」 「なるほど」 そこで山崎譲は懐中から紙入を取り出して、拡げたのは美濃紙大の一枚の絵図面でありました。 「これがその薩摩屋敷だ」 今更のようにそ....
凧の話」より 著者:淡島寒月
て田舎式としたものである。 凧にも随分大きなものがあって、阿波の撫養町の凧は、美濃紙千五百枚、岡崎の「わんわん」という凧も、同じく千五百枚を張るのであるという....
生前身後の事」より 著者:中里介山
迷惑がったようであるし、自分も亦《また》全く無経験者だから随分奔走した、それから美濃紙の買入についても本郷神田辺の紙屋を一軒一軒自分で聞いて歩いて品があると云え....
京鹿子娘道成寺」より 著者:酒井嘉七
た自分達には、あまりにも冗長に過ぎる感じを抱かしめる。 書の体裁は、五六十枚の美濃紙を半折し、右端を唄本のように、綴り合せたもので、表紙から内容に至るまで、全....
画筆に生きる五十年」より 著者:上村松園
いう御用命を拝したのでございました。早速、構想を練り「雪月花」の三幅双の小構図を美濃紙に描き、伯爵を通じてお納めいたしますと、「これでよいから、大きさはかくかく....
座右第一品」より 著者:上村松園
かった時のことです。上の方から写し出してだんだん下の方に描き下ろして行きますと、美濃紙で綴じた私の帳面に、その図がはまり切れなくなりました。あと二寸も余地があれ....