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美質
「美質〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
美質の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間失格」より 著者:太宰治
怒るどころか、おこごと一つも言えず、また、その妻は、その所有している稀《まれ》な
美質に依って犯されたのです。しかも、その
美質は、夫のかねてあこがれの、無垢の信頼....
「彼岸過迄」より 著者:夏目漱石
思えばそれで好いじゃないか。田口は僕の義兄だから、こう云うと変に聞えるが、本来は
美質なんです。けっして悪い男じゃない。ただああして何年となく事業の成功という事だ....
「行人」より 著者:夏目漱石
供らしく引き下がった。
お重は何でも直《じき》むきになる代りに裏表のない正直な
美質を持っていたので、母よりはむしろ父に愛されていた。兄には無論可愛がられていた....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
し、ギリシャの小説にこの類の話数あり(グベルナチス『動物譚原』二巻一一頁)。猪の
美質を挙げた例このほか乏しからず。貝原益軒は、猫は至って不仁の獣なるも他の猫の孤....
「文学の大衆化論について」より 著者:宮本百合子
る。所謂文壇人の領域で、人間性についての二元的な感じ方は、作家でない種類の人間的
美質というようなものだけを抽象して来て感服する昨今の風となって現われて来ている。....
「新しい美をつくる心」より 著者:宮本百合子
。質実ということは大切なことだ。いつの時代だって、女のみならず男をこめて、人間の
美質の一つとして考えられて来た。質実な美感の深さ、そこにある抒情性のゆたかさとい....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
ているばかりが親切じゃありませんからね――あなたのお年頃、そうして、自己の有する
美質を、人に示して惜しまないところには、また非常なる危険がひそんでいることをさと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
」 「そうかと思えば、物に触れて無常を感じてみたり、涙を流してみたりするところに
美質があるのさ、その無邪気なところをお前さん方、神経質にしてしまってはいけません....
「マダム貞奴」より 著者:長谷川時雨
える。 とはいえ、そうした侠妓に養われ、天賦の素質を磨いたとはいえ、貞奴の持つ
美質は、みんな善《よ》き父母の授けたものである。優雅、貞淑――そういう社会に育っ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
る一家族の歴史的推移を扱う場面の最も骨格をなすテーマは、父親である男がその人間的
美質や技能にかかわらず、自分の属す社会の故に、極めて卑俗な生活面を持ったことを発....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
ユリは欲ばりだ、そうお笑いになりましょうか。笑われてもうれしいわ。
ひとの
美質とその生動をより深くと理解してゆけるようになるということは、つまり私たち夫婦....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
した。それはみな善良な青年で、彼を深く崇拝していて、勤勉なりっぱな人物で、各種の
美質をそなえていた。クリストフは彼らの音楽を愛したかったが、しかし――(あいにく....
「俳優倫理」より 著者:岸田国士
美女でないことが、ひけ目にならなくなります。それを思うと、肉体に自然に与えられた
美質というものよりも、寧ろその肉体をいろいろな方法によって磨き鍛えることによって....
「女優の親」より 著者:岸田国士
ところがなければならぬ。だから、卑屈になることを極度にきらいながら、様々に自分の
美質を伸ばし、俳優として、立派な成長をして来た人は新劇の畑に既に少くないのである....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
心がなければ何時《いつ》でも素直に出来るけれども今の若い女はとかくこの素直という
美質を欠いておる。殊《こと》に学校教育を受けた女は一々何でも人の言う事に逆《さか....