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「羽子板〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

羽子板の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
年末の一日」より 著者:芥川竜之介
燵《ごたつ》へはいり、二三種の新聞を読みはじめた。新聞の記事は諸会社のボオナスや羽子板の売れ行きで持ち切っていた。けれども僕の心もちは少しも陽気にはならなかった....
右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
のひいき役者むっつり右門がうなぎのぼりに名声を博し、この年の暮れにはその似顔絵が羽子板になって売られようというほどな評判をかちえてまいりましたものでしたから、同....
クチマネ」より 著者:海若藍平
チンパイパイ」 「ハッ」 と支那人が大きなかけ声をしますと、美代子さんは羽子と羽子板ごと影も形も見えなくなってしまいました。 支那人は又ニヤリと笑ってあたり....
雪の塔」より 著者:海若藍平
た青白いランプの光りで照らされています。 ランプのまわりには餅花《もちばな》や羽子板、ゴム鞠、運動具、おもちゃの船、車などが一パイに吊され、どれを見ても欲しく....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
。尾張町の角や、京橋の際には、歳の市商人の小屋も掛けられ、その他の角々にも紙鳶や羽子板などを売る店も出た。この一ヵ月間は実に繁昌で、いわゆる押すな押すなの混雑で....
黒い頭」より 著者:海若藍平
うとう一貫借りました。 花子さんは夢中になってお友達と羽子をついているうちに、羽子板のうらの美しい姉さんの顔の頬ぺたが、いつの間にか羽子のムクロジに当って、ポ....
残されたる江戸」より 著者:柴田流星
、四谷伝馬町、赤坂一ッ木など、最寄りもよりになお幾つもある。 就中観音の市では羽子板の本相場がきまり、明神の市では門松の値が一定する。その他愛宕の市で福寿草の....
」より 著者:金子ふみ子
魚の切身が七、八つ、小さい紙袋が三つ四つ、それから、赤い紙を貼った三銭か五銭かの羽子板が一枚、それだけがその中から出て来た。 これが私たちの楽しいお正月を迎え....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
」 「ちょいと、一度これを。」 と、お嬢さんは、硯箱を押させて、仲よしの押絵の羽子板のように胸へ当てていた『たそがれ』を、きちんと据えた。 「……「ひどい墨だ....
後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
の室の異様な装飾を眺めていた。今入った板戸の上の長押には、土蜘蛛に扮した梅幸の大羽子板が掲っていて、振り上げた押絵の右手からは、十本程の銀色の蜘蛛糸が斜に扇形と....
絶景万国博覧会」より 著者:小栗虫太郎
肩に手をかけ、引き寄せるようにしながら、 「まあ私には、その情態が、まるで錦絵か羽子板の押絵のように思われて来るので御座いますよ。――御隠居様と小式部さんとが二....
かくれんぼ」より 著者:斎藤緑雨
小春が顔に花散る容子を御参なれやと大吉が例の額に睨んで疾から吹っ込ませたる浅草市羽子板ねだらせたを胸三寸の道具に数え、戻り路は角の歌川へ軾を着けさせ俊雄が受けた....
明治劇談 ランプの下にて」より 著者:岡本綺堂
その頃は双六ばかりでなく、歌留多にも歌舞伎に因んだものは少なくなかった。似顔絵の羽子板だけは今も廃れないが、それでも昔にくらべると三分の一にも足りまい。第一に羽....
三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
ろう。 沼南のインコ夫人の極彩色は番町界隈や基督教界で誰知らぬものはなかった。羽子板の押絵が抜け出したようで余り目に立ち過ぎたので、鈍色を女徳の看板とする教徒....
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)」より 著者:三遊亭円朝
夏つかなければならんものだが、何ういう訳か正月羽根を突くことになりましたが、昔の羽子板は誠に安っぽいものでございます、只今でも何うかすると深川八幡の市で売って居....