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「羽根布団〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

羽根布団の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
子供の病気」より 著者:芥川竜之介
人のように、叮嚀《ていねい》な言葉を使っていた。そこへ着物を更《あらた》めた妻も羽根布団《はねぶとん》やバスケットを運んで来た。「では行って参ります」妻は自分の....
白菊」より 著者:夢野久作
た首筋の向う側に、イキナリ右手のマキリを差し廻わしながら、左手でソロソロと緞子の羽根布団をめくった。同時にモウ一度、彼独特の物凄い笑いを、顔面に痙攣らせた。 「....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
情に関係ある的確な文学的表現を紹介した。 クッションというなら全部クッションだ。羽根布団というなら全部羽根布団だ。 だが、水の中は、溶けて自由な もっといいもの....
」より 著者:宮本百合子
てがっていた。病床の裾近いところに、行燈形のスタンドがともっている。その光りで、羽根布団の茶と緑の大模様がぼんやり浮き立って見えた。酸素瓶のバルブを動かしていた....
ココナットの実」より 著者:夢野久作
前に据っている色真綿の肘掛椅子の中に妾の身体を深々と落し込むと、その上から緞子の羽根布団を蔽いかぶせて、妾の首から上だけ出してくれた。 ハラムのこんなシグサは....
一足お先に」より 著者:夢野久作
て、男爵未亡人の藁布団に凭たれかかりながら、横坐りに坐り込んだ。胸の上に置かれた羽根布団と離被架とを、静かに片わきへ引き除けて、寝顔をジイッと覗き込んだ。 麻....
S岬西洋婦人絞殺事件」より 著者:夢野久作
では一番デリケートなところでしょう」 それから犬田博士は寝台の上にかけて在った羽根布団をめくってシーツの表面に残る隈なく拡大鏡を当てがってみた後に、署長と、検....
上林からの手紙」より 著者:宮本百合子
見えるように障子をあけた。きっと、山の中では珍しい寝台やその上にかかっている厚い羽根布団を見せたかったのだろうと思う。 二階の見晴しの部屋に、広業が松を描いた....
明治美人伝」より 著者:長谷川時雨
などは幕を張り、屏風《びょうぶ》をめぐらし、そして静々《しずしず》と、ふくよかな羽根布団にくるまれて、室内を軽く辷《すべ》る車で、それらの人々にはこばせるのであ....
千世子(三)」より 著者:宮本百合子
子供の様に夢ばっかりの多い眠りに入った。 ややしばらく立って目をさました時躰に羽根布団がかけられてわきに電気のスタンドがふくれた色にともって居た。 顔を手の....
白木蓮」より 著者:豊島与志雄
桃代の肉体は、布団の中に融けこんでいるようだった。厚ぼったい敷布を二枚、上に夜着と羽根布団、それらの柔かな綿の中に、すっぽりとはいっているので、どこに胴体があるの....
日記」より 著者:宮本百合子
あんまり明かには分らなかった。 二時すぎて来ると妙に四辺《あたり》が寒くなって羽根布団にくるまって居てもぞくぞくしたほどである。 二月三日(木曜) 欠席 ....
キャラコさん」より 著者:久生十蘭
、ひどい熱だった。 キャラコさんは、水瓶《フラスコ》を持ってあがったついでに、羽根布団と枕をかかえてきて、そっと保羅の身体にきせかけた。 キャラコさんは、ル....
ノンシャラン道中記」より 著者:久生十蘭
くもの、窓の外へ枕を投げ出すもの、鞄の中を引っかき廻す、眼鏡を踏みつぶす、果ては羽根布団の腹を裁《た》ち割って、その臓腑を天井に向って投げつければ、寝室はたちま....
審判」より 著者:カフカフランツ
屋で空気から完全に遮断されているという気持が、彼に眩暈を覚えさせた。自分のそばの羽根布団の上を軽く手でたたき、弱々しそうな声で言った。 「これじゃまったく気分も....