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羽色
「羽色〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
羽色の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
というのはまずその髪の毛でありました。まだじゅうぶんに情けの深さを示す漆黒のぬれ
羽色をしていながら、中ほどをぷっつりと切った切り下げ髪で、だからまゆは青々とそっ....
「旗本退屈男」より 著者:佐々木味津三
いかも知れぬが、暫くの間じゃ。お辛抱召されよ」 言いつつ、漆《うるし》なす濡れ
羽色の前髪をちらちらとゆり動かして、すいすいと右と左へ体を躱《かわ》しつつ、駈け....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
と思われましたが、まもなく伴ってきた者は、今にしてはじめて知らるる十七、八のぬれ
羽色に輝く前髪をふっさりとたくわえた一人のお小姓でありました。おそらくは、ご大身....
「生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
図をする)の船頭が頭をあつめて相談をし始める。どことも知れず、あの昼にはけうとい
羽色を持った烏の声が勇ましく聞こえだす。漁夫たちの群れもお内儀さんたちのかたまり....
「惜別」より 著者:太宰治
行くのを、どうする事も出来なかった。一つには、あなたがさっき言ったように、おなじ
羽色の烏が数百羽集ると猥雑に見えて来るので同類たがいに顰蹙し合うに到る、という可....
「あひると猿」より 著者:寺田寅彦
に去年はたった一匹しかいなかったあひるがことしは十三羽に増殖している。鴨のような
羽色をしたひとつがいのほかに、純白の雌が一羽、それからその「白」の孵化したひなが....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
むガルス・ヴァリウス、全く頷毛なく冠大にして切り込みなく、頷垂れただ一なるのみ、
羽色多く緑で家鶏との間種は稀に種を伝う。(大正十年十二月、『太陽』二七ノ一四)....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
て去る者あり。走り付いてその説を敲《たた》けば多年鶏を畜《か》う人で、われは鶏の
羽色が四季に応じて変るを熟知す。この鶏の
羽色と側に描いた草花と時節が合わぬと言っ....
「出奔」より 著者:伊藤野枝
て涙がこぼれて来らあ。人間という奴は勝手なものだなあ。だがそれが自然なのだ。同じ
羽色の鳥は一緒に集まるのだ、それより他仕方がないのだ。だが俺等の羽の色が黒いから....
「若草物語」より 著者:オルコットルイーザ・メイ
いました。まもなく、ベスとエミイが目をさまし、枕の下に本を見つけました。一冊は鳩
羽色、一冊は空色の表紙でした。みんなは起きなおり、本をながめて話し合いましたが、....
「お姫さまと乞食の女」より 著者:小川未明
て、女は、お姫さまの大事にしていられた小鳥を、放してやりました。赤と、緑と、青の
羽色をした美しい小鳥は、いい声でないて、お城の上を舞っていましたが、やがて雲をか....
「妻」より 著者:神西清
ロンの匂いでもしようものなら、それこそおかしいに違いない。もう久しく剃ってない鳩
羽色の、まず牛蒡といった感じの二重顎にも、飛びだした眼にも、息ぎれの様子にも、不....
「鳩つかひ」より 著者:大倉燁子
噂を聞き込み早速その家を訪問して主人に面会を求め、盗まれた鳩の年齢、特殊の習慣、
羽色等について委しく訊いてみるとぴったり符合していたんだ」 「頭のいい鳩つかいだ....
「茸をたずねる」より 著者:飯田蛇笏
んな時|俄にけたたましい音がして、落葉樹の間から山鳥が飛びあがることがある。彼の
羽色は濃い茶褐色で落葉の色に似通っているところから、草叢の間を歩いているときなど....
「新古細句銀座通」より 著者:岸田劉生
は、いそがしい美である。瞥見の美である。目を撃つ美で、観照すべき美ではない。ぬれ
羽色の髪に、つげの櫛の美しさは見れば見る程味の出る美である。断髪や、耳かくしの味....