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羽虫
「羽虫〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
羽虫の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「海のほとり」より 著者:芥川竜之介
しずがこ》いの着もの脱《ぬ》ぎ場にも、――そこには茶色の犬が一匹、細《こま》かい
羽虫《はむし》の群《む》れを追いかけていた。が、それも僕等を見ると、すぐに向うへ....
「或る女」より 著者:有島武郎
気なのやら曇っているのやら、暑いのやら寒いのやらさらに差別がつかなかった。盛んに
羽虫《はむし》が飛びかわして往来の邪魔になるのをかすかに意識しながら、家を出てか....
「武蔵野」より 著者:国木田独歩
て欄に倚って月を眺めていると、月は緩《ゆ》るやかに流るる水面に澄んで映っている。
羽虫《はむし》が水を摶《う》つごとに細紋起きてしばらく月の面《おも》に小皺《こじ....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
のだろうか。溶けた霜が蒸発するのだろうか。いや、それも昆虫である。微粒子のような
羽虫がそんなふうに群がっている。そこへ日が当ったのである。 私は開け放った窓の....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
書いてあった。蓮の実を売る地蔵盆の頃になると、白い綿のような物の着いている小さい
羽虫が町を飛ぶのが怖ろしく淋しいものであった。これを捕える子供らが「オボー三尺|....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、あるいは珍奇獣虫がいようと原人がいようとも、この永劫霽れようとも思われない毒の
羽虫の雲を除くには、恐らくガスマスクをつけ防虫完備の工兵が、優に一師団をもってし....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
な草牡丹は、柳|蒲公英の黄金色の花と、肩を並べて咲いていた。そうして小さい一匹の
羽虫が、雌蕊を分けて飛び出した。と、花粉が空へ舞い、砂金のように四散した。 細....
「死者の書」より 著者:折口信夫
翳りもなく、晴れきった空だ。高原を拓いて、間引いた疎らな木原の上には、もう沢山の
羽虫が出て、のぼったり降ったりして居る。たった一羽の鶯が、よほど前から一処を移ら....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
れこれよんだが、勿論、解らないままであった。又精神修養の講話もききに行った。蟻や
羽虫を気合いで仮死状態にすることも覚え、運動場で実演をみせたりした。 疎開する....
「郊外」より 著者:国木田独歩
の上に差し出ているのが暗い影を映しまた月の光が落ちているところは鏡のよう。たぶん
羽虫が飛ぶのであろう折り折り小さな波紋が消えてはまた現われている、お梅はじっと水....
「栗の花」より 著者:岡本綺堂
が、空と水とはまだ暮れそうな気色もみえないので、水明りのする船端には名も知れない
羽虫の群が飛び違っています。白鳥はどこの巣へ帰ったのか、もう見えなくなりました。....
「仇討姉妹笠」より 著者:国枝史郎
へ、蛍草の色に降りて来ていた。その明るい光の輪の中では、産れて間もないらしい細い
羽虫が、塵のように飛び交っていた。そうして明るい光の輪の底には、白芙蓉のように蒼....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
る藤の花房へさわった。と、その花房にたかっていたらしい、無数の蟆子のような小さい
羽虫が、花粉かのように舞い立ったが、日光の中に吸い込まれてしまった。上へのばした....
「決闘場」より 著者:岡本かの子
る四つの靴で押し込まれ、跳ね返った。透明な芝草がよじれて引っちぎられて、飛び立つ
羽虫のように飛んだ。 青年の生一本の競争慾は、いい加減で中止出来なかった。力闘....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
でも、いつまでも、可愛いお前と一緒に居りますよ。一緒にね、一緒にね。 (場内静。
羽虫ときどき青き光を掠めて飛ぶ) 女子 (少年の頭を撫でて)ヨハナーンや、昔二人....