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羽蟻
「羽蟻〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
羽蟻の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
しい蝶が五、六羽、蜂が二種類、金亀子のような甲虫が一種、そのほかに、大きな山蟻や
羽蟻もいる。 よく見ると、木の幹には、いくつとなく、小指の頭ぐらいの穴があいて....
「伯爵の釵」より 著者:泉鏡花
十一 翌日の午後の公園は、炎天の下に雲よりは早く黒くなって人が湧いた。煉瓦を
羽蟻で包んだような凄じい群集である。 かりに、鎌倉殿としておこう。この……県に....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
盗賊の棲家にでもなりはせぬか、と申します内に、一夏、一日晩方から、や、もう可恐く
羽蟻が飛んで、麓一円、目も開きませぬ。これはならぬ、と言う、口へ入る、鼻へ飛込む....
「後光殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、今朝八時に検屍したのだが、死後十時間以上十二時間と云う鑑定だ。然し、傷口の中に
羽蟻が二匹捲き込まれている所を見ると、絶命は八時から九時迄の間と云えるだろう。昨....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
前にあります。これは、太郎があっこおばちゃんの御勉強机のためにさっきくれたもの。
羽蟻が昨夜あたりはうんと来たがきょうはすっかり減って居ます。
きょうは図書館が....
「ダス・ゲマイネ」より 著者:太宰治
ひとつ彼に殺させてやろうと思っているのであるが、窓からこっそり忍びこむ者は、蛾と
羽蟻とかぶとむし、それから百万の蚊軍。(君|曰く、ああ僕とそっくりだ!)君、一緒....
「一枚絵の女」より 著者:国枝史郎
豊国が今度描くという。 どうしても俺が買ってやらなければ。 新樹、つり忍、
羽蟻、菖蒲湯、そういった時令が俳句に詠み込まれる、立夏に近い頃だったので、杉の木....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
しになっている。 蔓草は壁に沿って檐《のき》まで這上り、唐館は蜻蛉《とんぼ》や
羽蟻《はあり》の巣になっていると見えて、支那窓からばったや蜻蛉がいくつも出たり入....
「郷愁の詩人 与謝蕪村」より 著者:萩原朔太郎
平原の向うに、地平をぬいて富士が見える。その山麓《さんろく》の小家の周囲を、夏の
羽蟻《はあり》が飛んでるのである。高原地方のアトモスフィアを、これほど鮮明に、印....
「俳人蕪村」より 著者:正岡子規
めにそこなはれ落つ柿の花 恋さま/″\願の糸も白きより 月天心貧しき町を通りけり
羽蟻《はあり》飛ぶや富士の裾野の小家より 七七五調、八七五調、九七五調の句 ....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
は、もう誰彼の見わけもつかなかった。小さな旋風の中に、かたまり合って吹かれてゆく
羽蟻の群れみたいに乱闘が始まったのだ。 しかし、片方は水田だし、片方は並木の堤....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
が今日もひろい本土の空の下では、いたるところの山河が矢叫びや武者吠えあげて、はや
羽蟻の巣にひとしい幕府の古屋台をゆすぶっている。どうッと地鳴りが響いたら一朝のま....
「螽蟖の記」より 著者:室生犀星
い沢山に住んでいる。瓜蠅、つゆ虫、ばった、足長蜘蛛、蚋、蚊とんぼ、尺蠖、金亀子、
羽蟻、蟷螂、それ等の虫がそれぞれ枝と葉の宮殿のなかに休んでいる。つゆ虫(馬追とも....