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「羽音〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

羽音の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
》の死骸《しがい》にたかった青蝿《あおばえ》が、相変わらず日の光の中に、かすかな羽音を伝えながら、立つかと思うと、止まっている。…… 二 猪....
戯作三昧」より 著者:芥川竜之介
しく聞えて来る。その音とともに、日覆をはためかすのは、おおかた蝙蝠《こうもり》の羽音であろう。舟子《かこ》の一人は、それを気にするように、そっと舷から外をのぞい....
」より 著者:芥川竜之介
と同時に大きな蠅《はえ》が一匹、どこからここへ紛《まぎ》れこんだか、鈍《にぶ》い羽音《はおと》を立てながら、ぼんやり頬杖《ほおづえ》をついた陳のまわりに、不規則....
神神の微笑」より 著者:芥川竜之介
の沈黙が擾《みだ》されるのは、寺の鳩《はと》が軒へ帰るらしい、中空《なかぞら》の羽音《はおと》よりほかはなかった。薔薇の匂《におい》、砂の湿り、――一切は翼のあ....
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
かい》の辛夷《こぶし》の下に、蜜《みつ》に酔《よ》って飛びも出来ない虻《あぶ》の羽音《はおと》を聞いていると、何とも云いようのない寂しさが突然彼を襲う事があった....
少年」より 著者:芥川竜之介
りも先へ吶喊《とっかん》した。同時にまた静かに群がっていた鳩は夥《おびただ》しい羽音《はおと》を立てながら、大まわりに中《なか》ぞらへ舞い上った。それから――そ....
妖婆」より 著者:芥川竜之介
での。おぬしには善い見せしめじゃ。聞かっしゃれ。」と云う声が、無数の蠅《はえ》の羽音のように、四方から新蔵の耳を襲って来ました。その拍子に障子の外の竪川へ、誰と....
二つの道」より 著者:有島武郎
手に輝く希望の光は鈍ってくる。そして鉛色の野の果てからは、腐肥をあさる卑しい鳥の羽音が聞こえてくる。この時人が精力を搾《しぼ》って忘れようと勉《つと》めた二つの....
高野聖」より 著者:泉鏡花
やさまざまにむらむらと家《うち》のぐるりを取巻いたようで、二十三十のものの鼻息、羽音、中には囁《ささや》いているのがある。あたかも何よ、それ畜生道《ちくしょうど....
二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
知ら? 御存じの通り、稲塚、稲田、粟黍の実る時は、平家の大軍を走らした水鳥ほどの羽音を立てて、畷行き、畔行くものを驚かす、夥多しい群団をなす。鳴子も引板も、半ば....
生まれいずる悩み」より 著者:有島武郎
上に長く尾を引きながら消えて行く。 どこからともなく海鳥の群れが、白く長い翼に羽音を立てて風を切りながら、船の上に現われて来る。猫のような声で小さく呼びかわす....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
ほどで、自動車の音は高く立ちながら、鳴く音はもとより、ともすると、驚いて飛ぶ鳥の羽音が聞こえた。 一二軒、また二三軒。山吹、さつきが、淡い紅に、薄い黄に、その....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
矗立した壁面と、相接するその階段へ、上から、黒く落ちて、鳥影のように映った。が、羽音はしないで、すぐその影に薄りと色が染まって、婦の裾になり、白い蝙蝠ほどの足袋....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
。電信の柱長く、斜に太き影の横うたるに、ふと立停りて、やがて跨ぎ越えたれば、鳥の羽音して、高く舞い上れり。星は降るごとし。あなやと見れば、対岸なる山の腰に一ツ消....
黒百合」より 著者:泉鏡花
け広げた夏座敷の灯が漏れて、軒端には何の虫か一個唸を立ててはたと打着かってはまた羽音を響かす、蚊が居ないという裏町、俗にお園小路と称える、遊廓桜木町の居まわりに....