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羽風
「羽風〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
羽風の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
、その顔をも蹴られたと見えて、左の小鬢にも血がしたたっていた。銀杏返しの鬢の毛は
羽風にあおられて、掻きむしられたように酷たらしく乱れていた。 わが屋の飼い鶏が....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
、故人の意志を欺くことが出来んのです。しかしつまるところ法律と云うものは、痴呆の
羽風にすぎんのでしょう。どんなに秘密っぽい輪奐の美があろうとも、あの無作法な風は....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
が短く鋭く洩れて出る。 ハタハタ、ハタハタと蝙蝠が二人の周囲を飛び廻わる。その
羽風に灯火が揺れ、壁上の陰影が延び縮みする。そうして大河の音が聞こえる。 「月子....
「小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
うに玻璃窓のうちをのぞき、半身をもたげたる武男と顔見合わし、驚きたって飛び去りし
羽風に、黄なる桜の一葉ばらりと散りぬ。 われを呼びさませし朝の使いは彼なりける....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
お暇乞いをした方がよかろうという気になったのは、一つは道庵先生に先を越されたその
羽風にも煽られたのでしょう。 そう思い立つと、お角さんとして愚図愚図することは....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
って、少しもおそれなかったのです。最初の縁は躑躅ヶ崎の古屋敷。 「ああ、あの蝶の
羽風《はかぜ》が……」 悪夢の中に、どろどろにもだえたお銀様は、力かぎりその人....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
丸くなって、外の闇へ躍《おど》り出してしまった鷲の子。 その途端に、さわがしい
羽風を切って松の枝下から、ある程度まで舞い下ったらしい大鷲――それと迎合しようと....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
な響を聞くと、お雪ちゃんは、どうしても、さきのあの大鷲がこの山へ舞い戻って、その
羽風《はかぜ》がこうして煽《あお》るのだと思われてなりません。不在《るす》の間に....
「源氏物語」より 著者:紫式部
お美しさが備わり、二月二十日ごろの柳の枝がわずかな芽の緑を見せているようで、鶯の
羽風にも乱れていくかと思われた。桜の色の細長を着ておいでになるのであるが、髪は右....
「小春」より 著者:国木田独歩
つ。野末はるかに百舌鳥のあわただしく鳴くが聞こゆ。純白の裏羽を日にかがやかし鋭く
羽風を切って飛ぶは魚鷹なり。その昔に小さき島なりし今は丘となりて、その麓には林を....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
真白な鳥が、真白な芦原の中に舞いこむ、すると、その姿は見えなくなる。しかし、その
羽風のために、今まで眠っていた芦原が一面にそよぎ出す、というのだ。お互いに、この....
「椎の木」より 著者:豊島与志雄
て、中空をさーっと飛んで、近くの木立へ遊びに行きました。 この一群れが飛びたつ
羽風に、椎の古葉がいくつも散って、はらはらとまい落ちました。 そこへ、また三毛....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
ち開けた谿谷の上、海に迫った丘陵の椴松の黒い疎林の、その真っ蒼な空に一点、颯爽と
羽風を切っているのは、 あ、たしかに鷲だ。 鷲は飛ぶ。飄としてまた流れて、翼....