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「翳し〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

翳しの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
。望む処は凡才で間違いの無いのが可いのだ。正々堂々の陣さ、信玄流です。小豆長光を翳して旗下へ切込むようなのは、快は快なりだが、永久持重の策にあらず…… その理....
海異記」より 著者:泉鏡花
れられて、 「まあ、ねえ、」とばかり深い息。 奴は高慢に打傾き、耳に小さな手を翳して、 「轟――とただ鳴るばかりよ、長延寺様さ大釣鐘を半日|天窓から被ったよう....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
の結びめ、左右一双の毒竜の爪なり。迅速に一縮す。立直るや否や、剣を抜いて、頭上に翳し、ハタと窓外を睨む。 侍女六人、斉しくその左右に折敷き、手に手に匕首を抜連れ....
木の子説法」より 著者:泉鏡花
ち、この時、鬼頭巾に武悪の面して、極めて毒悪にして、邪相なる大茸が、傘を半開きに翳し、みしと面をかくして顕われた。しばらくして、この傘を大開きに開く、鼻を嘯き、....
女客」より 著者:泉鏡花
、謹さんは。」 と美しく打怨ずる。 「飛んだ事を、ははは。」 とあるじも火に翳して、 「そんな気でいった、内らしくないではない、その下宿屋らしくないと言った....
革鞄の怪」より 著者:泉鏡花
半三分の一を瞑目して黙想して過して、はっと心着いたように、火先を斜に目の前へ、ト翳しながら、熟と灰になるまで凝視めて、慌てて、ふッふッと吹落して、後を詰らなそう....
唄立山心中一曲」より 著者:泉鏡花
たちは窓から視た。人数に抱上げらるるようになって、やや乱れた黒髪に、雪なす小手を翳して此方を見送った半身の紅は、美しき血をもって描いたる煉獄の女精であった。 ....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
しゃりと胸を打って、 「退りおろうぞ。」 で、虫の死んだ蜘蛛の巣を、巫女の頭に翳したのである。 かつて、山神の社に奉行した時、丑の時参詣を谷へ蹴込んだり、と....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
廻りに、すぐ池の端へ出て、揚出しわきの、あの、どんどんの橋を渡って、正面に傘を突翳して来たんでしょう。ぶつかりそうに、後縋りに、あの二人に。 おや……帽子はす....
縁結び」より 著者:泉鏡花
に、」 「どんな婦人だ。」 と尋ねた時、謙造の顔がさっと暗くなった。新聞を窓へ翳したのである。 「お気の毒様。」 「何だ、もう帰ったのか。」 「ええ、」 「だ....
伊勢之巻」より 著者:泉鏡花
沢山|点きまして、いつも花盛りのような、賑な処でござります。」 客は火鉢に手を翳し、 「どの店にも大きな人形を飾ってあるじゃないか、赤い裲襠を着た姐様もあれば....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
体を包みました。婆というは、何ものでござるじゃろう。」と、廉平は揖しながら、手を翳して仰いで言った。 皺手に呼吸をハッとかけ、斜めに丁と鑿を押えて、目一杯に海....
霊界通信 小桜姫物語」より 著者:浅野和三郎
の草叢へ移ってまいりました……。その時たちまち、右手に高く、御秘蔵の御神剣を打り翳し、漆の黒髪を風に靡かせながら、部下の軍兵どもよりも十|歩も先んじて、草原の内....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
巻を刎ねて、写本を持ったなり、起直ったんです、私は……」 小山夏吉の眉に、陰が翳した。 「……紀行に、前申した、川裳明神縁起とあるのでしょう。可心の無事はもと....
活人形」より 著者:泉鏡花
し。 得三は人形の前に衝と進みて、どれ、ちょっと。上※の被を引き上げて、手燭を翳して打見|遣り、「むむ可々。と独言。旧のごとく被を下して、「後刻に高田が来る筈....