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翻然
「翻然〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
翻然の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
らぬに、聞いて居た権田時介は全く感奮した様で身を投げ捨てる様に立ち上った、悪人が
翻然として善人に立ち返るは此の様な時で有ろう、況《ま》して彼は悪人でなく、聊か感....
「蠅男」より 著者:海野十三
チメンタルな同情心を起して麗人をかばってみたり、いろいろと道草を喰っていたのだ。
翻然と、探偵帆村は勇敢に立ち上った。 (一体、蠅男というやつがいくら鬼神でも、こ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
人の悪者があって、その後久しく伊豆の下田に潜伏していたが、ある時なにかの動機から
翻然悔悟した。その動機はよく判らないが、理髪店へ行って何かの話を聞かされたのらし....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
は叫んだものである。 「死ぬのは止めだ! 使徒になろう!」 恋に破れた若侍が、
翻然心を宗教に向け、人間の力の能う限りの難行苦行に身を委ねてから、五年の歳月が飛....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
取や、那須や、岡本などが、一個の弱い生物でしかなかったように。そこで、彼はまた、
翻然と、狡猾な奥の手を出した。彼は、柿本から、五六歩身を引くと、 「さア、整列!....
「心臓盗難」より 著者:海野十三
きつけられるが早いか、たちまち怒牛のように奮い立った。 もっとも、このときは、
翻然奮起すべき一つの素因のためにお尻をどやされたのである。それはどういうことかと....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
相違ない。やっぱりここに構えていよう。引き寄せられるだけ引き寄せてやろう。そこで
翻然と飛び出して行き、憎いは南部集五郎、まず真っ先に叩っ切ってやろう。もう二、三....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
、びきを泣かせてやれか。」 と黄八丈が骨牌を捲ると、黒縮緬の坊さんが、紅い裏を
翻然と翻して、 「餓鬼め。」 と投げた。 「うふ、うふ、うふ。」と平四郎の忍び....
「怪しの館」より 著者:国枝史郎
が、それは駄目であった。十分用心をしていたのだろう、旗二郎の太刀を横に払い、
翻然斜めに飛びのいた。 「方々!」 「うむ」 「ご用心!」 三人声をかけ合った....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
の勢が集まって、足で踏み消したのであろう――と、直感した直感を手頼って、茅野雄は
翻然と突き進んだ。声は掛けなかったが辛辣であった! 感覚的に横へ薙いだ。と、すぐ....
「南蛮秘話森右近丸」より 著者:国枝史郎
な性質の持主であった。打たれて地上へは倒れたが、隠し持っていた一腰を、引き抜くと
翻然飛び上った。 「こんなものだアーッ」と凄じい掛声! 右近丸を目掛けて猪右衛門....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
った。 音! 鏘然と一合鳴った。 陣十郎が払ったのである。 と見て取って
翻然と、要介は無手で躍りかかった。 剣光! 斜に一流れした。 陣十郎の横な....
「娘煙術師」より 著者:国枝史郎
る。
静まり返っているだけ、かえって凄く思われる。もしも本当に斬る気になって、
翻然と飛び出して来たならば、そんな五人の遊び人などは、一|薙ぎ二薙ぎで斃されるで....
「河豚食わぬ非常識」より 著者:北大路魯山人
在する際だから、この美食恵沢に未だ出合わない薄幸者は一生の不覚を悔に残さぬよう、
翻然なにをおいてもまずふぐ料理の美味を試むべきである。そして、その飽喫から得た自....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
ら、急らず逼らず、擒縦の術を尽せしが、敵の力や多少弱りけん、四五間近く寄る毎に、
翻然延し返したる彼も、今回は、やや静かに寄る如く、鈎※の結び目さえ、既に手元に入....