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翻訳物
「翻訳物〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
翻訳物の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
て帰る。その頃は物価が安くて、割前が三四円位であった。僕は古賀の勤めている役所の
翻訳物を受け合ってしていたので、懐中が温《あたたか》であった。その頃は法律の翻訳....
「鉄鎚」より 著者:夢野久作
ま、電話の前の自分の机に倚《よ》りかかって、ずっと以前に読みさしたまま忘れていた
翻訳物の探偵小説を読んでいると、肩の処で突然に電話のベルが鳴った。 私は読みさ....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
屋と知合いになって、そこからいろんな本を買って来て読んでいた。修身の逸話を集めた
翻訳物のようなのも持っていた。また誰も知らない、四、五冊続きの大きな作文の本も持....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
ていた。「闇の光」、「復活」などもそこで彼女と一緒に見た無声映画であった。それに
翻訳物も彼女はかなり読んでいて、話上手な薄い唇から、彼女なりに色づけられたそれら....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
嘆息した。繰り返えし読んで足らず、手ずから写したものだ。其後「血笑記」を除く外、
翻訳物は大抵見た。「其面影」はあまり面白いとも思わなかった。「平凡」は新聞で半分....
「読書法」より 著者:戸坂潤
は安売しないということだが。 それに事実上今日最も読まれるものは、何れによらず
翻訳物であるらしい、これは日本の読書界の或る種の健康さをこそ現わせ、決してその無....
「浮雲」より 著者:二葉亭四迷
受けさせられた。その受賃という訳でも有るまいが帰り際《ぎわ》になって、 「新聞の
翻訳物が有るから周旋しよう。明後日《あさって》午後に来給《きたま》え、取寄せて置....
「読書の今昔」より 著者:寺田寅彦
れた。おとなの読み物では民友社のたしか「国民小説」と名づけるシリースにいろいろの
翻訳物が交じっていた。矢野竜渓の「経国美談」を読まない中学生は幅がきかなかった。....
「蛋白石」より 著者:宮本百合子
かったらどっかへ行けばいいさ!」 そんな事を思って肇は午前中はかなり力を入れて
翻訳物をした。 二時頃になると肇はとうとう篤を誘って千世子の処へ出掛けた。 ....
「まじょりか皿」より 著者:寺田寅彦
って書いたものが一度も紙上へ載らないので此方も出てしまった。この頃ではあちこちの
翻訳物を引受けたり、少年雑誌の英文欄などを手伝って、どうかこうかはやっている。時....
「新妻の手記」より 著者:豊島与志雄
た。津田さんは私の友人で、小さな婦人雑誌の編輯をしている。以前、私はちょっとした
翻訳物をその雑誌にのせて貰ったことがある。母は言う。 「わたしの若い頃のお友だち....
「現下文壇と探偵小説」より 著者:平林初之輔
わせしたりしていることは珍しくない。 ところが日本ではまだ、創作物においても、
翻訳物においても探偵小説はまだ一般の小説から隔離されて、一段下級な文学作品である....
「科学的研究と探偵小説」より 著者:小酒井不木
は大なる変化はないはずであるからである。 現今の日本の探偵小説界は何といっても
翻訳物の全盛時代である。たまに創作があっても翻案ものが多いようである。なにゆえ日....
「昭和四年の文壇の概観」より 著者:平林初之輔
月が必要とされるであろう。そしてまだ相当の期間の間は、探偵小説の読者は依然として
翻訳物につくであろう。 六 正統派文壇の新傾向 島崎藤村氏が、中央公論誌上に年....
「贋物」より 著者:葛西善蔵
本屋の仮編輯室になっていた。そこへ毎日四五人の若い作家連が寄って、分担して大部の
翻訳物に従事していた。芳本もその一人であった。他にも耕吉の知った顔が一人二人いた....