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耀き
「耀き〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
耀きの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「空襲葬送曲」より 著者:海野十三
造は上々の御機嫌で、また盃を口のあたりへ運ぶのだった。一家の誰の眼も、にこやかに
耀き、床の間に投げ入れた、八重桜が重たげな蕾を、静かに解いていた。まことに和やか....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
自分の眼に、眩み転ばんばかりの激動をうけたのだった。パッと眼を打ってきた白毫色の
耀きがあって、思わず彼は、前方の床を瞶めたまま棒立ちになってしまった。それはけっ....
「黴」より 著者:徳田秋声
しているっていう話ですがね。」 お銀の目には、以前男のことを話す時見せたような
耀きも熱情の影も見られなかった。 「お前の胸には、もうそんな火は消えてしまったん....
「鴎外・漱石・藤村など」より 著者:宮本百合子
、小男であった安井仲平のところへ、十六歳の時、姉にかわって進んで嫁し、質素ながら
耀きのある生涯を終った佐代子という美貌の夫人の記録である。「ともすれば時勢の旋渦....
「この夏」より 著者:宮本百合子
い、実に燃ゆる自然だ。うっとり見ていると肉体がいつの間にか消え失せ、自分まで燃え
耀きの一閃きとなったように感じる。甘美な忘我が生じる。 やがて我に還ると、私は....
「五月の空」より 著者:宮本百合子
な、わが、こころ、 歓びに躍り 悲しみに打しおれ いつも揺れる、波の小舟。 高く
耀き 照る日のように崇高に どうしていつもなれないだろう。 あまりの大望なのでし....
「初夏(一九二二年)」より 著者:宮本百合子
香煙の頂を 美しい衛星に飾られた 一つの星まで のぼらせ給え。 燦らんとした天の
耀きは わが 一筋の思 薄き紫の煙を徹して あわれ、わたしの心を盪《とろ》かせよ....
「海辺小曲(一九二三年二月――)」より 著者:宮本百合子
の縁の辺ゆるやかに 春の日かげが廻って来る。 ささやかな紙の障子は ゆるがぬ日に
耀き渡り マジョリカの小壺に差した三月の花 白いナーシサス、薄藤色の桜草....
「唖娘スバー」より 著者:タゴールラビンドラナート
の翻訳もいりませんでした。心そのものが影をなげました。眼の裡に、思いは開き閉じ、
耀き出すかと思えば、闇の中に消え去ります。沈んでゆく月のように凝っと一つところに....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
、だから、作家であってよかったと沁々思うわけです。それは全くリアルです。一刹那の
耀きでも、ぱーっと景色と色調と交響する音の全部が見とおされます。そういうたのしさ....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
思いがあるからか 月に向って精一杯 小さな障子をあけている。 いよいよ蒼み
耀きまさり 月も得堪えぬ如く そそぐ そそぐ わたしの窓へ 満々として 抑....
「獄中への手紙」より 著者:宮本百合子
その美しさのもとに生きることの歓喜のふかさは、それが大理石の円柱であったとしても
耀き出さずにはいられないと思います。 喝采というものは、芸術のテーマとして最も....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
びて激しく発散する。いかなる怒濤にも滅されまいとする情意の熱がそこに眩いばかりの
耀きを放って、この海景の気分をまとめようとあせる。それほどまでにもこの岩礁は誰の....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
大地は己を迎えて緑に萌え、花を開く。
ある夜己が揮いたので、あらゆる星が
一時に
耀きはじめた。一体あなた方に、
世俗の狭隘な思想の一切の束縛を
脱せさせて上げた....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
いが、私には却ってこの方がしっくりする。悠々とくつろげていい。 なんと青い深い
耀きをもった空の色だろう。私はマッチを擦る。抓みの厚い土耳古煙草に火をつける。 ....